eコマース(EC)についてあらためて知っておくべきこと~EC市場規模や成功に向けてのポイントもわかりやすく解説

eコマース(EC)についてあらためて知っておくべきこと~成功に向けてのポイントもわかりやすく解説

「eコマース」「EC」。ここ数年、コロナ禍の影響で参入する事業者が増えたこともあり、これらの言葉を以前にも増してよく聞くようになりました。

本記事では、ECサイトを運営するにあたり、基本的かつ重要で知っておきたい項目をまとめました。ECサイトを立ち上げる方法や成功に向けてのポイント、知っておきたい市場の動向などをまとめていますので、ぜひご覧ください。

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eコマースとは?

eコマースとは「Electronic Commerce(電子商取引)」の略。

一般的に、eコマースとは、インターネット上で商品・サービスを売買すること、つまり「ネット通販」や「ネットショッピング」と呼ばれる取引を指します。

参考までに、経済産業省発表の「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」では、ECの定義について以下のように記載されています。

【広義ECの定義】

「コンピューターネットワークシステム」を介して商取引が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの

  • ・ここでの商取引とは、「経済主体間で財の商業的移転に関わる受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換をいう。

  • ・広義ECには、狭義ECに加えて、VAN・専用回線、TCP/IPプロトコルを利用していない従来型EDI(例:全銀手順、EIAJ手順等を用いたもの)が含まれる。

【狭義ECの定義】

「インターネット技術を用いたコンピューターネットワークシステム」を介して商取引が行われ、かつ、その成約金額が捕捉されるもの

  • ・ここでの商取引とは、「経済主体間で財の商業的移転に関わる受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換をいう。
  • ・「インターネット技術」とはTCP/IPプロトコルを利用した技術を指しており、公衆回線上のインターネットの他、エクストラネット、インターネットVPN、IP-VPN等が含まれる。

出典:経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書」2022年8月

eコマースの市場規模

eコマースはここ数年で市場規模が拡大している印象を受けるものの、具体的にはどれくらい拡大しているのでしょうか。また、巣ごもり需要が一服し、街に賑わいが戻ってきた2022年では、EC市場規模はどう変化したのでしょうか。

それらの疑問について、経済産業省が毎年出している最新データから解説していきます。

BtoC-EC市場

経済産業省の調査によると、日本における2022年のBtoC(企業と一般消費者の取引)EC市場規模は22兆7,449億円、年間成長率は前年比9.91%増でした。

BtoC-EC市場規模の経年推移(単位:億円)

BtoC-EC市場規模の経年推移

出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」2023年9月

BtoC-EC市場規模は以下の3つで構成されています。

  • ・物販系分野
  • ・サービス系分野
  • ・デジタル系分野

この記事では、商品を手に取ることができる「物販系分野」のEC市場規模について詳しく見ていきます。

物販系分野の市場規模は13兆9,997億円(前年より7,132億円増加、増減率5.37%)でした。EC化率は9.13%と、BtoC物販系分野は年々市場規模が拡大しています。

※EC化率とは、全ての商取引金額(商取引市場規模)に対する、電子商取引市場規模の割合を指します。

ここ数年は新型感染症の影響により急激にECの利用が増加し、2022年はその影響が一段落したことでEC利用が減少するとの見方もありました。しかし実際はそのようなこともなく、伸び率は鈍化しつつも増加する結果が出ています。

物販系分野のBtoC-EC市場規模

物販系分野のBtoC-EC市場規模

出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」2023年9月

EC化率に目を向けると、全体としては増加しているものの分類によって差がある状況です。EC化率が高い順に分類を並べ変えたのが表1です。分類によってはまだまだ伸びしろがあり、今後もEC利用は増加していくことが予想されます。

分類 EC化率
③書籍、映像・音楽ソフト 52.16%
②生活家電、AV 機器、PC・周辺機器等 42.01%
⑤生活雑貨、家具、インテリア 29.59%
⑥衣類・服装雑貨等 21.56%
④化粧品、医薬品 8.24%
①食品、飲料、酒類 4.16%
⑦自動車、自動二輪車、パーツ等 3.98%
⑧その他 1.89%

スマートフォン利用

スマートフォンでのEC利用も年々増加しています。2022年はスマートフォン比率が55.98%と、物販のBtoC-EC市場規模の約半数以上を占めています。

BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模

BtoC-EC(物販)におけるスマートフォン経由の市場規模

出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」2023年9月

前年と比較すると市場規模は8,954億円増加し、増加率は12.9%と2桁の伸びを見せています。全体の増加額は7,132億円でしたので、今後スマートフォン経由でのeコマース利用の増加が全体のBtoC-EC(物販)市場規模の増加を牽引していくことでしょう。

スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模の推移

スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模の推移

出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」2023年9月

BtoB-EC市場

BtoB-EC市場規模は420兆2,354億円(前年比+12.8%)、EC化率は前年から1.9ポイント増加した37.5%でした。

BtoB-EC市場規模の推移

BtoB-EC市場規模の推移

出典:経済産業省「令和4年度電子商取引に関する市場調査」2023年9月

市場規模はBtoB-EC、BtoC-ECどちらも拡大傾向にあり、多くの企業にとってEC活用はビジネスの拡大に向けた重要な課題と言えます。

eコマース事業を立ち上げる方法は?

eコマース事業を立ち上げる方法は、大きく分けて「モール型EC(モール型eコマース)」に出店する、または「自社EC(自社eコマース)」を立ち上げる方法の2種類です。「モール型EC」と「自社EC」の両方を運営する事業者も数多くいらっしゃいます。

モール型EC

「モール型EC」は、「ECモール」と呼ばれる一つの大きなECサイトの中に多数の店舗サイトがある形のeコマースです。

代表的なECモールとして、楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング、PayPayモール、ZOZOTOWNなどがあります。こういったECモール内に自社の店舗サイトを持つことを「出店」と表現します。

モール型ECでeコマース事業を立ち上げる場合は、出店したいECモールのアカウントを作成し、そのECモールの管理画面を通じて商品情報の登録や店舗ページの作成、注文および顧客の管理などを行います。

モール型ECのメリット

モール型ECは、ECモール自体に知名度や集客力があるので、初期の集客を行いやすいというメリットがあります。また、ECモールの訪問客は購入意欲が高いユーザーが多いため、そういったユーザーにアプローチすることで売上が立ちやすいこともメリットです。

モール型ECのデメリット

モール型ECは、売上手数料をはじめとする手数料の設定により、利益率が低くなりがちです。そのため、商品の価格設定に気をつけないと、売上は伸びているのに利益が確保しづらいということになります。

また、ECモールではセールイベントがよく開催され、参加を求められることが多いのですが、頻度によっては「いつもセールを実施しているブランド」といったイメージとなる可能性があるため、注意が必要です。

そもそもECモールでは、店舗サイトのドメインはなくECモールのドメインとなり、デザインフォーマットもECモールごとに決まっているので、店舗ごとの特徴や独自性を出しづらく、ブランディングが難しいといえます。

さらに、受注や出荷に必要な購買データは取得できるものの、顧客データはECモール側が管理しているため、ECモール内での販促は行えても、自社のファンを作る施策は打ちづらいところがあります。

自社EC(独自ドメインEC)

「自社EC」は、各社がそれぞれ独自のECサイトを構築する形のeコマースです。各社独自のドメインを利用することから、「独自ドメインEC(独自ドメインeコマース)」とも呼ばれます。

自社ECのECサイトの構築には、インターネット越しに提供されるECプラットフォームを複数のeコマース事業者が共用するASPカートや、ECに必要な機能を標準機能として備えたECパッケージシステムがよく利用されます。ECパッケージの場合、カスタマイズすることで、独自性を持ったECサイトにできます。

自社ECのメリット

モール型ECでは、ECモールごとにさまざまなルールが定められており、デザインフォーマットの制限やセールイベントなどの影響も受けますが、自社ECではこれらはほとんどなく、運営の自由度はかなり高くなります。

そのため、独自性を打ち出したデザインの実現や施策実施が可能で、ブランディングをしっかりと行えます。顧客データも自社の資産となるので、自社のファンを作るためのコミュニケーション施策を幅広く実施できます。

また、自社ECで利用するECプラットフォームは、売上手数料がモール型ECより低いか、支払う必要のないサービスが多くなっており、売上に対する利益が出やすい仕組みとなっています。

自社ECのデメリット

自社ECは、モール型ECのように頼れる集客力はありません。集客ゼロからのスタートです。ECサイトを立ち上げただけでは、誰もその存在を知りません。

自社ECを軌道に乗せるには、まずはその存在を知ってもらい、集客から始める長期的な計画が必要です。売上を伸ばすには時間が必要です。

まずは新規顧客を獲得してさらにリピート顧客につなげられるよう、市場や顧客の反応を分析しながら改善を繰り返し、腰を据えて取り組んでいかなければなりません。

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eコマース関連用語

eコマースに関連して知っておきたい用語をまとめました。

BtoC 「Business to Customer」の略。企業対個人の取引のこと。一般消費者向けのECサイトの多くはBtoCにあたります。
BtoB 「Business to Business」の略。企業・法人同士の取引のこと。例えば、メーカーから問屋への卸、問屋から小売店への卸など。最近ではBtoBでもeコマースの活用が増えています。
CtoC 「Customer to Customer」の略。消費者同士が商品を売買する個人間取引のこと。フリマアプリなどの形態がCtoCにあたります。
DtoC 「Direct to Customer」の略。メーカーが仲介業者や小売店を通さずに、自社のECサイトで直接消費者に商品を販売すること。
ASP 「Application Service Provider」の略。インターネットを通じて利用できるアプリケーションの提供者のこと。
SaaS 「Software as a Service」の略。ASPと同様に、インターネット上で利用できるソフトウェアやサービスのこと。

eコマースのメリット・デメリット

消費者とECサイト運営者、それぞれにとってのeコマースのメリット・デメリットを紹介します。ECサイトを運営する場合、メリットを活かし、デメリットをできるだけカバーする運営を行うことが成功のポイントとなります。

買い手にとってのメリット

望む場所や時間でお買い物ができる

実店舗を利用する場合、消費者はそれぞれの店の営業時間内に合わせて店まで足を運ぶ必要がありますが、eコマースであれば、24時間いつでも必要なときに、消費者の都合の良いタイミングで商品を購入できます。なかなか時間が取れない忙しい人たちでも利用しやすいでしょう。

例えば、子育て中で手が離せない人でも、eコマースを使えばスマートフォン一つでスキマ時間にベビー用品を購入することができます。あるいは、仕事が忙しくて日中はなかなか外出できない人が、深夜にeコマースでゆっくりと買い物をすることも可能です。

商品を見つけやすい

eコマースには、商品を探しやすい仕組みがあります。

欲しい商品が決まっており、商品名が明らかな場合は、サイト内検索をすればすぐにその商品ページにたどり着くことができます。

サイト内検索では詳細な検索条件の設定もできるので、カテゴリや色、素材、サイズなどから、自分の希望に合う商品を絞りこむこともできます。また、予算を設定して、それに合う商品を探し出すことも簡単です。

購入した商品を届けてもらえる

eコマースでは、購入した商品を自宅まで届けてもらえます。特に、お米や水などの重いもの、かさばるものを自分で運ばなくて済むのは大きなメリットでしょう。

さらに最近では、コンビニ受け取りや宅配ロッカーへの配達など、受け取り場所を選べるECサイトが増えています。家にいないことが多いという人でも、仕事帰りや用事のついでに注文した商品を受け取りやすくなっています。

クーポンやポイントなどのプロモーションが告知される

eコマースでは、クーポン発行やポイント制度などにより、お得に購入できるケースが多くなっています。これらのお得な情報は、ECサイト上だけではなく、メールやSNSなどでも告知され、買い手が気づきやすい仕組みになっています。

eコマースのクーポンは、利用するクーポンのクリックやクーポン番号の入力などで、簡単に利用できます。実店舗のようにクーポンを持ってくるのを忘れた、というような購入意欲のブレーキとなることもありません。

ポイント制度は、継続して買う理由を作りだせる施策です。近年ではECサイトと実店舗で共通化する店舗も増えています。買い手にとっては、同じ会社やブランドから買うならどこで利用しても共通してポイントが貯まり、そのポイントを使うことができるので、よりメリットが大きくなります。

買い手にとってのデメリット

実物を見ることや、触ることができない

eコマースでは、ECサイトに掲載された画像やテキストなど画面上でしか商品を見ることができず、実物を目の前で見たり触ったりすることはできません。

実店舗であれば、実物を自分の目で見て、サイズ感や色合い、商品の細部まで確認できますし、触っての質感や触り心地などを確かめることもできます。アパレル商材であれば、試着することも簡単です。

一方のeコマースではそういったことができないので、商品が届いてみて、イメージしていたものと実物の商品が違うということも起こります。

また実店舗では、店内を歩きながら商品を眺めることで、「こんなのが欲しかった!」という意外性のある出会いが起こることがあります。これはeコマースでは起こりにくいことです。

eコマースでは、商品名や欲しい商品の具体的な条件が決まっていないと、これが欲しいというものを探し出しづらいところがあります。

ただし、近年ではこうしたeコマースのデメリットを払拭できるツールも増えてきました。

実物を目の前で見ることができない点については、オンライン試着や家具などのインテリアの配置をシミュレーションできるサービスが登場しています。また、欲しいものを探し出しづらいという点については、ユーザーの行動を基に興味関心が高そうな商品をおすすめするレコメンド機能や、後述するWeb接客などが多くのECサイトで導入されています。

ECサイト運営者のメリット

商圏が限定されない。世界中に販売可能

ECサイトは、インターネットさえつながれば、世界各地からアクセスしてもらえます。そのため、場所の制約を受けにくく、商圏(販売可能なエリア)が拡大します。

このeコマースの特徴と実店舗を組み合わせた取り組みもできます。例えば、旅行先で見つけた美味しい食品やスイーツを、帰宅後にECサイトでも買ってもらえるようにすれば、距離に関係なくリピート購入を促せます。

また、海外に向けたEC販売(越境EC)の取り組みも増加しています。例えば、インバウンドで日本に来た外国人旅行客に向けてECサイトを案内し、旅行中に気に入った商品を帰国後も買ってもらうという取り組みも行われています。

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店舗代がかからず、スモールスタートで開始しやすい

eコマースでは、実店舗を運営しないため、建物代や水道光熱費などがかかりません。また、実店舗に比べて少ない人数で運営できるので、人件費も抑えることができます。

もちろんECサイトの開店にも費用はかかりますが、実店舗に比べると費用が低く済むことが多く、スモールスタートで開始できます。

最初はスモールスタートできるECサイトから始めて、事業の規模が大きくなってから実店舗も出店する流れも出てきています。開店や運営のための費用はかかりますが、ECサイトと実店舗の両方があることで、それぞれのメリットを活かし、また、デメリットを補い合うこともできます。

データ活用ができ、施策が打ちやすい

ECサイトでは、会員登録や購買履歴などのほかに、どんなユーザーがどのような経路でECサイトを訪れ、どう行動したのかというデータを収集でき、実店舗よりも豊富なデータを入手しやすくなっています。

そういった商品の販売データや顧客データ、Web上での行動データを活用すれば、より顧客のニーズに応じた施策を打ちやすくなります。

また、打った施策の反響も分析しやすいので、施策の立案から実行、改善、検証を早いサイクルで回すことができます。これにより、自社に合った販売方法をより早く見つけ、伸ばしていくことができます。

デジタル活用で顧客接点を継続的に保ちやすい

実店舗では、顧客接点を保つには、お客様に店に足を運んでもらう必要があります。直接対面する分、お客様とのつながりを深めやすいという実店舗ならではの良さもありますが、基本的にはお客様の来店待ちで、継続的な対応が難しいという側面があります。

一方、eコマースのようなデジタルの世界では、インターネットを通じていつでも情報発信ができ、そこからクリック一つでECサイトを訪問してもらえます。また、顧客データなどを基にして、その時々の顧客のニーズに合わせたメルマガなどを発信することで、顧客と継続的につながりを持つことができます。

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ECサイト運営者のデメリット

モール型ECは比較されやすく、価格競争に巻き込まれやすい

モール型ECは、一つのECモールに膨大な数の店舗が出店しており、その中で店舗を横断したアイテムの比較検討が容易です。そのため、自店舗と同じ商品や類似商品を販売している店舗が他にある場合、価格競争となりがちです。

価格競争になると、どちらが限界まで安くできるかという体力勝負で、勝ったとしても利益が残りづらくなります。価格競争に巻き込まれる商品が多いと、たとえ売上はあったとしても利益率が下がり、店舗の運営が苦しくなってしまいます。

自社ECは立ち上げ時の集客施策が重要

自社ECは、開店しただけでは店舗の存在がお客様に伝わらず、売上が立ちません。実店舗ならば、近くを通った人がついでに来店してくれるということもあり得ますが、自社ECではそういった偶然は起こりにくいです。

そのため、自社ECでECサイトを開店したら、認知施策や集客施策を速やかに展開しましょう。開店はゴールではなく、EC事業成功に向けてのスタートにすぎません。開店後は、まずは顧客を集めること、そして売上を軌道に乗せることに注力しましょう。

eコマース成功に向けて

eコマース成功に向けて、押さえるべき基本のポイントを紹介します。

同業他社との違いを打ち出す

eコマースに参入する事業者は年々増加しています。ただECサイトがあるだけでは、数あるECサイトの中から顧客に選んでもらうことは難しい状況です。

ECサイトを立ち上げるなら、顧客がそのECサイトを選んで買い物をしたくなるような、他社との差別化を測りましょう。そのためにまず、自社ならではの強みを考え、それをどのように打ち出すことができるかを考えます。

差別化ポイントとしては、大きく「商品」「付加サービス」「UX」の3つがあります。

商品の差別化

他にない商品を扱っている場合、それを積極的に打ち出しましょう。類似の商品がある場合は、似ているように見えて異なるポイントの訴求が効果的です。

商品のまとめ売りやセット販売で差別化を図ることもできます。例えば、母の日や父の日など、イベント用に商品数点をギフトセットとして提供することでも商品の差別化が実現できます。

付加サービスの差別化

同価格帯の同じような商品がある場合、付加サービスで差別化を図ることもできます。

例えば、「○○円以上で送料無料」というサービスは多くのECサイトで行われていますが、これも付加サービスの一つです。

他にも、「○○円以上で○○プレゼント」といったサービスも考えられます。コスメなどでは購入した同ラインのサンプルを提供するのも一つの方法です。あるいは、ギフト商材のギフト梱包やメッセージカードの同梱、家具の組み立てサービスなど、商材に合わせた付加サービスも考えられます。

自店舗の運営体制と商材に合わせて、何か付加サービスを提供できないか考えてみましょう。

UXの差別化

UXとは「User Experience=ユーザー体験」の略です。eコマースに関していえば、顧客がECサイトで買い物をするときの体験を指します。そして、顧客にそのECサイトならではの良い買い物体験を提供することが、UXの差別化です。

例えば、丁寧なカスタマー対応や、迅速な発送、手書きメッセージの同梱などもUXの差別化です。あるいは、ECサイトそのものがとても分かりやすく使いやすいということも、UXの差別化になり得ます。

自店舗が顧客にどのような買い物体験を提供できるか、考えてみましょう。

集客施策、リピート購入施策を充実させる

ECサイトは、立ち上げたら売れるものではありません。まずは集客施策を行い、そのECサイトの存在を一人でも多くの人に知ってもらう必要があります。

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Webプロモーションの手法を顧客のターゲット別に分類し、プロモーション施策の費用対効果を高める運用のポイントを紹介します。
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即効性のある集客施策は、広告です。ただし、広告は出稿するだけコストがかかるので、目標と予算のバランスを取りながら運用していく必要があります。

SNSの活用もおすすめです。自分たちでアカウントを運用するなら無料で始められます。まずは店舗や商品の情報などを発信してみて、ユーザーの反応を見たり、競合他社を参考にしたりして、内容を調整していきましょう。

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また、立ち上げ当初から着手していきたいのが、検索表示で上位を狙うSEO対策と、ユーザーにとって役立つ情報を発信することで関係性を築いていくコンテンツマーケティングです。いずれも効果が出るまでに時間がかかりますが、継続するほど効果が上がります。

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新規獲得と同時にリピート獲得も重要です。売上を伸ばすにはまず新規獲得が必要ですが、売上を安定させるにはリピート獲得が必要です。

顧客データを活用して顧客との関係性を築いていくCRM(Customer Relationship Management)活動により、リピート購入の対策を行いましょう。

CRM:「Customer Relationship Management」の略。顧客に関するデータを活用して、顧客との関係性を管理して、顧客と良好な関係を築いていくこと。eコマースのリピート対策において重視されます。

日々改善を繰り返す

ECサイトの立ち上げはゴールではなく、eコマース事業成功に向けてのスタートでしかありません。成功のためには、日々の改善が重要です。

ECサイトではさまざまなデータを取得できます。それらのデータを活用して、立ち上げた後は、各種施策に対する顧客の行動を見て、より効果が高まるように改善を繰り返しましょう。

データの活用には、無料で使えるGoogleのアクセス解析ツール「Google アナリティクス」や、ECサイト上でのユーザーの行動を色で可視化できる「ヒートマップ」などのWeb解析ツールが役立ちます。

デジタルな世界のECサイトだからこそ、データ活用により売場の状況を見えやすくすることができます。

業務効率化を図る

ECサイトの売上が拡大すると、それに比例して発送処理などのバックヤード業務が増えていきます。

安定して売上が立てられるようになったら、次のステップは業務効率化です。バックヤード業務のシステム化と自動化を検討しましょう。販促活動に集中できなくなるほどバックヤード業務が増えているのであれば、早急に検討するタイミングといえます。

システム化、自動化を検討する場合は、基幹システムなど既存のシステムとの連携も視野に入れて動きましょう。

良い協力者を見つける

eコマース事業はとにかくやることの多い事業です。その上、新しい技術や販売手法が次々と出てくる業界でもあります。

そのため、一人で必要な情報を全て把握するのはなかなか難しいことです。もちろん、まず自分で調べてみることは大切ですが、わからないことは詳しい人に聞くのが一番です。

ECサイトの運営業務は多岐に渡るので、それぞれの業務についてそれぞれの専門家がいます。そういった専門の知識を持つ、良い協力者や相談先を見つけておくことも、ECサイトを安定して成長させていくために重要なポイントです。

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今後も活用が広がるeコマース

EC市場は年々拡大しており、新たな考え方や手法も次々と登場しています。ここでは、今後のEC市場を考えるときに、押さえておいたほうが良い情報を紹介します。

実店舗との連携(OMO、オムニチャネル)

ECサイトだけでなく実店舗など複数の販売チャネルを持つ事業では、各販売チャネルをそれぞれ一つの顧客接点と捉え、全ての販売チャネルを通して顧客データやポイント制度を共通化する流れが出てきています。

この考え方を「オムニチャネル」といいます。オムニチャネルにより、顧客がどの販売チャネルで購入しようとも、一元化された購入履歴から、一貫した接客やポイント施策が可能となります。

オムニチャネルに似た考え方として「OMO」があります。オムニチャネルは、販売促進や販路拡大の方法として進化してきた概念ですが、OMOは顧客体験の向上に軸を置いた考え方です。

OMOは「Online Merges with Offline」の略で「オンラインとオフラインが溶け合う、融合する」といった意味です。OMOでは、認知から購買プロセス内のオフライン・オンラインの行動全てが一人の顧客に紐づき、データ化されます。

OMOの例としては、実店舗で購入した商品に合うアイテムをメルマガで提案してECサイトで購入してもらう、ECサイトでお気に入り登録した商品の実物を店頭で見てから購入する、ECサイトで購入した商品を店頭で受け取る、といったことが挙げられます。

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Web接客

Web接客とは、実店舗のようなお客様への一対一の接客を、Webサイト上でも行おうとする取り組みです。それを可能にしているのが、チャットなどの新しいツールの登場です。

ECサイトにチャットを搭載することで、お客様が分からないことがあったときに、リアルタイムで接客が可能です。チャットボットを利用すれば、チャットに対応するスタッフがいなくても自動で、接客が可能です。

チャットボットと人が対応するチャット接客を組み合わせて活用すれば、自動で解決できることはチャットボット対応で効率化しながら、必要な場面に人的リソースを集中することもできます。

また、実店舗で店員と話しているうちに購入意欲が高まるように、チャット接客でもECサイト訪問者の購入意欲を高めることができると考えられます。そのタイミングを見極めて、購入へと背中を押すことができるのも、チャット接客の強みです。

動画活用

写真やテキストだけでなく、動画も使って商品を紹介するECサイトが増えています。動画を活用することで、発信できる情報量が増えます。

例えば、アパレル商材では「光の当たり具合での色の変化」や「ふんわり感」など生地の質感を、写真やテキストで正確に表現するのは難しいですが、商品を着用して動いているところを動画にすることで、多くの人に理解してもらいやすくなります。

また、ただ動画で商品を紹介するだけでなく、生放送で視聴者からの質問やコメントを受け付け、動画に記載されたリンクから商品を購入できる、「ライブコマース」を行うECサイトも登場しています。

こういった動きを踏まえると、ECサイトはただ商品を閲覧したり購入したりする場にとどまらず、コミュニケーションを取ったり動画を見て楽しんだりする、エンターテイメント性も兼ね備えてきているといえます。

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まとめ

今回は、eコマースの基本として消費者・運営者双方にとってのメリット・デメリット、ECサイト構築の方法から成功のポイント、今後の活用について解説しました。

ここ数年、BtoCの物販系ECは継続して成長しており、コロナ禍の巣ごもり需要が落ち着いた後も安定して利用が拡大しています。ECサイトを利用したことのなかった人が巣ごもり需要でその便利さを体験して、eコマースを利用する層が拡大した面もあるようです。

本記事でも紹介したとおり、eコマースは人々のさまざまなライフスタイルに対応できる存在であり、今後もニーズは拡大すると考えられます。物販においては、近い将来、ECサイトがあるのが当たり前という時代も来るかもしれません。

eコマース事業を立ち上げて成功に導きたいとお考えであれば、理想のECサイトを実現できるHIT-MALLをぜひ一度ご検討ください。

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