SNSの集客効果をECサイトに活用すべき理由とは?運用の注意点も解説

SNSをECサイト集客で活用するには?運用の注意点も解説

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及に伴い、ECサイトの集客や販売促進にSNSを活用することが重要となりました。 その一方で、「SNSをうまくECに活用できていない」「ネットショップの集客にSNSをどう活用すれば良いか分からない」といった悩みも多いようです。そこで今回は、ECサイトの集客にSNSを活用する方法と、SNS運用の注意点について、事例を交えて解説します。

EC事業者がSNSを活用すべき理由

SNSの普及によって、購買行動における意思決定にSNSが強く影響するようになりました。消費者が商品を知るきっかけは、かつてはテレビや雑誌などマスメディアが中心でしたが、現在はSNSから話題の商品や新商品の情報を得る機会も増えています。商品の口コミを事前にSNSで調べてから実際に店舗やECサイトで購入するという消費者も多いでしょう。

また、SNSをコミュニケーションだけでなく、情報収集目的で利用する人は増加しており、総務省の調査ではSNSの利用目的として「知りたいことについて情報を探すため」と答えた人の割合は63.6%(2019年時点)。2018年時点と比べて約6.2ポイント増えています。このようにSNSは情報発信メディアとしての影響力を年々強めています。

ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用目的

出典:総務省「令和元年通信利用動向調査」P6,2020年5月

EC事業者がSNSを集客に活用している割合は半数以上

ここからは、メーカー向けのECサイト運用に関するアンケート(弊社実施)より、SNSに関する設問の回答結果を参照しながらSNSの活用実態について解説します。

メーカー向けECサイト運用に関するアンケート 概要

調査名称
メーカー向けECサイト運用に関するアンケート
調査機関
アイテック阪急阪神株式会社
対象
BtoC向け製品を扱う製造業やメーカーなど、自社ブランド製品のECサイトを運用中、または構築予定の企業にお勤めの方
調査期間
2021年1月8日~2021年2月24日
調査方法
インターネット調査(社外調査機関含む)
有効回答数
136件

EC事業者のSNS運用状況についてアンケートを実施したところ、ECサイトの集客にSNSを活用している割合は58.1%でした。6割近くがSNSを運用しており、「ブログ」(30.1%)や「WEB広告」(30.9%)よりもSNSを使っている企業が多いことが分かりました。

ECサイトの集客手段

ECサイトの集客手段

ECサイトの集客手段(弊社実施アンケート調査の結果より作成)

さらに、集客手段としてSNSを利用している企業のうち、SNSの集客効果を実感していると答えた割合は74.7%でした。

一方で、SNS運用の課題を自由記述形式で質問したところ、「SNSでどのような施策を打てば良いか分からない」という意見が目立ちました。SNSは無料で簡単に始められますが、投稿コンテンツのリーチ数を伸ばし、フォロワーを増やすのは簡単ではありません。また、SNSの売上への貢献度が具体的に見えにくいという課題もあります。そういった運用の難しさから、導入後に集客効果は感じつつも、より効果的な施策を見つけられていない企業もいるようです。

SNSごとの利用割合はFacebook(40.4%)が最も高く、2位以下はInstagram(35.3%)、Twitter(32.4%)、YouTube(21.3%)、LINE(20.5%)、note(6.6%)、TikTok(5.1%)、Pinterest(5.1%)となっています。

ECサイトの集客手段(SNS)

ECサイトの集客手段(SNS)

ECサイトの集客手段(弊社実施アンケート調査の結果より作成)

関連情報

SNSをECサイトの集客に活用する方法

ECサイトの集客にSNSを活用する方法は、SNS広告、インフルエンサーマーケティング、SNS内検索対策、口コミ醸成などがあります。商品の認知度向上やECサイトへの集客、ブランディング、リピート促進など目的に合わせて使い分けましょう。

SNS広告

Facebook、Instagram、Twitter、LINEなどは、SNS利用者の属性や興味・関心でターゲットを絞って広告を配信することができます。ターゲティングの範囲はSNSごとに異なり、原則実名制のFacebookは年齢や性別、居住地、学歴などで細かくターゲティングできます。また、年齢による絞り込みはFacebookやInstagramは1歳ごとですが、Twitterは「18~24歳」「21~34歳」など幅があります。

SNS広告がタイムラインに流れると、SNS利用者は受動的に広告に接触することになります。商品やブランドのことを知らない潜在顧客にも自然にリーチできることがメリットです。

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インフルエンサーマーケティング

芸能人や特定の分野で影響力のあるインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらう「インフルエンサーマーケティング」は、商品やサービス、ブランドの認知度向上に有効です。多くのフォロワーを持つインフルエンサーが商品を紹介すると、商品の情報が拡散することに加え、インフルエンサーの信用力によってフォロワーが商品を購入(コンバージョン)することも期待できます。

また、「美容」「健康」「グルメ」など特定のカテゴリで情報発信しているインフルエンサーは、そのカテゴリに興味があるフォロワーが多いため、人数が少なくても質の良いフォロワーである可能性があります。フォロワー属性が自社商品のターゲットに合っているか見極めた上で、インフルエンサーを選びましょう。

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SNS内検索機能への対策

SNS内での検索対策のポイントは2つあります。1つ目のポイントは、SNS利用者が企業アカウントを見つけやすいように、アカウント名を工夫すること。例えば、Instagramアカウントに商品名やブランド名、店舗名などを使用すると、利用者がSNSの検索機能で商品やブランドを検索したときに企業アカウントを見つけやすくなります。

2つ目のポイントは、商品やブランドに関する口コミをSNS上で増やすこと。消費者が商品についてSNS上で調べたとき、好意的な口コミが多ければ購入の後押しになります。逆に、悪い口コミが多かったり、情報そのものが少なかったりすると、「人気がない」「知名度が低い」という印象を消費者に与えかねません。

UGC活用

SNSは単なるコミュニケーションツールではなく、巨大なレビューサイトという側面も持っています。UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)をSNS上に増やすことが重要です。

SNS上にUGCを増やすには、商品の感想などをハッシュタグ付きで投稿してもらうキャンペーンが有効です。食品メーカーが自社商品を使ったオリジナル料理の写真をハッシュタグ付きで投稿してもらうキャンペーンを行い、投稿した消費者の中から抽選や任意で受賞者を選び、特典をプレゼントするといった施策などです。

キャンペーンだけでなく、自発的にコンテンツを投稿してくれる顧客を増やすために、企業が公式アカウントを運用してフォロワーを獲得し、コミュニケーションを図りながらファンを増やしていく地道な取り組みも必要になるでしょう。

UGCはECサイトのコンテンツに活用することもできます。 例えば、商品に対して好意的な口コミをECサイトの商品レビューとして使用することで、ECサイトを訪れた他の消費者の購入を後押しする効果が期待できます。社内のEC担当者が思いつかない構図の写真がSNSに投稿されることもあり、商品の訴求方法の新しい切り口が見つかるかもしれません。

また、UGCをSNS広告のバナーや、ECサイトの特集バナーとして活用することで、バナーの制作費を削減できるメリットもあります。なお、UGCをECサイトなどに使う際は投稿者に利用許諾を取りましょう。

フォロワー対応

SNSはECサイトのリピート購入促進にも活用することができます。SNSのメッセージ機能などを使って顧客からの質問に答えてエンゲージメントを高め、ECサイトでの購入につなげる取り組みです。例えば、新商品が入荷したことをTwitterアカウントで告知し、商品の詳細に関する顧客からの質問にリプライやダイレクトメッセージで回答することは、商品情報の共有だけでなく、ブランドイメージの向上にもつながり、購入促進に効果的でしょう。

また、顧客がSNSに投稿した口コミをシェアすることで、さらにエンゲージメントを高めることにつながります。

SNSのフォロワーリストは顧客リストのようなものであり、フォロワーの中には、新たなファンを獲得するための起点となるアンバサダー的な存在もいるでしょう。SNSを通じて既存顧客と交流することは、長期的な売上拡大につながる可能性があります。

SNSは消費者とのコミュニケーションツール

SNSは消費者とEC事業者とのコミュニケーションチャネルとしての重要性も高まっています。コールセンター大手のトランスコスモス株式会社が実施した調査によると、企業とのコミュニケーション手段として「公式SNSアカウント」を利用していると回答した消費者の割合は、2020年は32%でした。2016年と比べて21ポイントも上昇しています。

SNSはECサイトの集客やブランディングのみならず、顧客とのコミュニケーションツールとして活用する視点も必要でしょう。

消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020

出典:トランスコスモス株式会社「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」2020年11月

Instagram「ショッピング」

SNSをECサイトの購入促進に活用する方法として、Instagramの「ショッピング」機能が広く活用されています。ECサイトの商品データをInstagramアカウントに登録し、商品の写真に商品データを紐付けて投稿すると、Instagramのコンテンツ上で商品名や画像、価格などを閲覧できるようになります。Instagramのコンテンツから数タップでECサイトの商品ページに直接移動し、商品を購入することができます。

「HIT-MALL」を導入されている株式会社阪急スタイルレーベルズ様は、ライフスタイルを提案するブランド「DOUBLEDAY(ダブルデイ)」の自社ECサイトの集客にInstagramのショッピング機能を活用しています。「DOUBLEDAY」がセレクトした商品を使った生活に共感してもらうことを意識し、ブランドコンセプトを伝えることで商品の提案から購入へとつなげています。

DOUBLEDAY(ダブルデイ)Instagramショッピング

株式会社阪急スタイルレーベルズ 様「DOUBLEDAY(ダブルデイ)Instagram

ライブコマースのURLを拡散

ライブ配信を行いながら商品を販売する「ライブコマース」の告知にSNSを活用することもできます。商品を直接販売できる(ECサイトに遷移する必要がない)ライブコマースプラットフォームを使う際に、ライブ配信のURLをSNSで拡散する方法です。ライブコマースの配信時間を事前に告知する手段として、メルマガなどと合わせてSNSも活用しましょう。

知っているようで知らない「ソーシャルコマース」とは?

SNSをECに活用する方法として「ソーシャルコマース」があります。ソーシャルコマースという言葉の定義について、本稿では「SNSのプラットフォーム上で、商品の注文から決済まで完了する販売方法」とします。

ソーシャルコマースの代表例はInstagramの「チェックアウト」です。日本ではまだ正式にリリースされていませんが(2021年1月時点)、海外では一部のブランドが運用しており、近い将来日本でも正式にリリースされると言われています。

ソーシャルコマースのメリットと可能性

ソーシャルコマースはSNS上で集客から決済まで完結できます。例えば、SNS利用者がアプリにクレジットカード番号や住所などをあらかじめ登録できるようになれば、アプリ内で商品を購入するたびにカード番号などを入れる必要もなくなります。現在のSNSを活用したショッピング機能(Instagram ショッピング機能)では、SNS投稿からECサイトに遷移して商品を購入する必要があります。一方で、決済まで実装したソーシャルコマースでは、商品を閲覧してから購入完了までの画面遷移が少ないため、従来のSNS経由の販売方法と比べて購入途中の離脱率(カゴ落ち率)が下がる可能性があります。

ソーシャルコマースは即時性があることもメリットです。SNSのコメント機能やライブ配信機能を使い、販売者と顧客がリアルタイムでやり取りすることで、対面に近い接客体験を実現できるかもしれません。

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EC事業者がSNSを運用する際の注意点

SNSをECサイトの集客や販売促進に活用する際の注意点があります。プラットフォームを使い分ける必要があることや、SNSアカウントの運営には手間と労力がかかること、成果が出るまで時間がかかることなどです。

商品やターゲットでSNSを使い分ける

SNSを使い分ける際は、SNSごとのユーザー属性の違いに加え、自社ECサイトの商品の特性を踏まえて運用することが必要です。

Instagramは商品の魅力をビジュアルで伝えることができるため、アパレルや食品、インテリアや雑貨などに向いています。利用者は若年層が多く、女性の比率が高いことなども踏まえ、自社商品との相性を確認してください。

Facebookは原則として実名制なので、利用者がコンテンツをシェアしたり「いいね」したりする際に、その行為が周囲からどう思われるかを意識します。シェアしたことが他のフォロワーからの信用獲得や社会的評価につながるコンテンツが拡散されやすいでしょう。

Twitterは拡散力が高いことが特徴で、「リツイート」などの拡散機能を活用したキャンペーンを行うと、商品の認知度向上に効果的です。

文章を中心に商品を紹介する場合はnoteが向いています。noteは長文を書けるブログであると同時に、フォロー機能や「スキ」ボタンなどSNS機能が付いているのが特徴。企業理念や商品開発への思い、素材や製法に対するこだわりなどを詳しく説明したいときに活用すると良いでしょう。

人件費も含めて費用対効果を評価

SNSの運用には目に見えないコストがかかります。コンテンツの企画を考え、写真撮影や文章の執筆を行うには労力がかかりますし、「いいね」やリツイートなどフォロワーとのコミュニケーションに重きを置きすぎてしまうと日々の運用にも時間を取られます。SNSアカウントは無料で開設できますが、SNSの運用には人件費がかかることを考慮し、費用対効果を計算した上で運用しましょう。

目標を段階的に設定

SNSの運用目的をECの売上高に設定すると、成果が表れるまで時間がかかります。SNS経由の売上だけでSNS運用の成果を評価すると、最初の数か月は成果につながらず、SNS運用の効果を過小評価してしまう場合があります。また、運用担当者のモチベーションが下がる要因にもなるでしょう。

SNSを運用する際は、目標を段階的に設定すると成果が見えやすくなります。まずは「投稿数」「リーチ数」「いいね数」「フォロワー数」などを目標とし、それらがある程度増えたら、次は「ECサイトへの誘導数」、最後に「売上高」を目標にすると良いでしょう。

ステマや炎上に注意

インフルエンサーマーケティングを行う際はステルスマーケティング(ステマ)に注意が必要です。インフルエンサーが商品を使っていないのに愛用者であるかのように偽るなど、消費者を欺く行為は避けましょう。商品を実際よりも優れていると誤解させる広告は法令違反となる可能性があります。何より、ステマであることが消費者に知れわたったときのブランドの信用を失うリスク(レピュテーションリスク)は甚大です。

SNSをきっかけとした炎上にも注意が必要です。商品PRを依頼したインフルエンサーが個人の発言で炎上し、依頼した企業のブランドにも傷がつく場合があります。依頼する前にインフルエンサーの過去の投稿や言動も確認しましょう。

企業がSNSに投稿したコンテンツが原因で、企業が批判を浴びることもあります。差別的な発言や特定の企業・個人を誹謗中傷することや不謹慎と捉えられる投稿など、誤解を与えることのないよう注意が必要です。

投稿コンテンツに関するガイドラインや、万一炎上したときの対応マニュアルを策定しておくことが必要です。

SNS運用は優先順位が重要

ここまで解説してきたように、SNSを使ったECサイトへの集客は、手間と労力、目に見えないコストがかかるうえに、リスクを伴います。その一方で、自社のターゲット層に合ったSNSを上手く活用できれば、ECサイトの集客だけでなく商品やブランドの認知度向上にも繋げられます。まずは自社で対応できる範囲で運用していくために、目的や社内リソースを踏まえ、施策の優先順位を決めることが重要です。商品やブランドの認知度向上やECサイトへの誘導、売上アップなど、SNS運用における目的を明確にし、プラットフォームや施策を使い分けましょう。SNSごとのユーザー属性の違いは「ECサイト集客に欠かせないSNSトレンドと年齢層別の利用傾向まとめ」も参考にしてみてください。

SNSのプラットフォームは新しい機能を次々と実装しており、今後ECサイトへの新しい活用方法が出てくるでしょう。ECサイトの集客に活用できそうな機能をチェックしておくことが大切です。

また、新しいSNSは次々と登場します。近年はTikTokが10代を中心に利用者を増やしていますし、2020年末には音声SNSのClubhouseが話題になりました。新しいSNSのアカウント運用を競合よりも先に始めれば、フォロワー獲得を優位に進められる可能性があります。新しいSNSプラットフォームの流行の兆しが見えたら、まずは利用者としてアカウントを取得し、ECサイトへの活用の可能性を探ってみるのも良いでしょう。