「ライブコマース」とは?意味やメリット、注意点を解説|5分でわかるEC用語

EC業界で注目「ライブコマース」とは?意味やメリット、注意点を解説|5分でわかるEC用語

近年、ECサイトでの新しい販売手法として「ライブコマース」に注目が集まっています。2020年春以降は新型コロナウイルスの影響もあり、アパレルブランドやカウンセリング化粧品、百貨店など、対面販売を中心に事業を手がけてきた企業がライブコマースを活用する動きも広がりました。

ライブコマースの定義やメリット、プラットフォームの種類のほか、出演者の選び方や実施する際の注意点などを解説します。

ライブコマースとは?

「ライブコマース」とは、インターネットを通じた動画のライブ配信と物販を組み合わせた販売手法のことです。ライブ配信中に商品を紹介し、視聴者をECサイトなどに誘導して商品を販売します。

テレビショッピングと類似した販売手法ですが、ライブコマースでは視聴者から寄せられたコメントに配信者がその場で回答するなど、コミュニケーションをとりながら販売できるのが特長です。

また、テレビショッピングを実施するには多額の広告費がかかり、販売数に応じた成果報酬の支払が必要なこともありますが、ライブコマースは、多額の初期投資をかけずに、機材や通信環境さえ整えば、無料でも配信できるという手軽さもあります。

ライブコマースが注目される3つの理由

ショップ店員など「個人」にファンが付く

ショップ店員やインフルエンサーなど、ブランドや商品ではなく「個人」にファンが付き、信用や共感を得ることによって、買い物をする消費者が増えていることも、ライブコマースが注目されている一因です。企業が発信した広告よりも、ショップ店員やインフルエンサーなど、消費者が親近感を感じやすい「個人」が薦める商品を買いたいと思う人が増える傾向にあり、ライブコマースは効果的な販売手法です。

プラットフォームの多様化

ライブコマースをしやすい環境が整ったことも、ライブコマースが活発化している一因です。InstagramやYouTubeなどを使えば無料でライブ配信を行えますし、ライブ配信中にプラットフォーム上で決済まで行える、ライブコマース専用ツールも利用が進んできています。

コロナ禍での「オンライン接客」の重要性

2020年3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大によって実店舗の営業が制限を受け、オンラインの接客手段としてライブコマースにさらに注目が集まりました。特にアパレルブランドやカウンセリング化粧品、百貨店など、これまで実店舗で顧客とコミュニケーションをとりながら販売していた商材や業種がライブコマースを始めるようになっています。

ライブコマースの利用率と認知度

ライブコマースの利用経験者や認知度について、MMD研究所が2021年4月に実施した調査によると、18歳~59歳の男女5,000人のうち、ライブコマースを「視聴し、商品を購入したことがある」と答えた割合は5.8%でした。「視聴したが、商品を購入したことはない」は6.9%で、合計12.7%がライブコマースの利用経験を持っています。

60歳以上が調査対象に含まれないことを踏まえると、人口全体における利用率はさらに下がると予想できます。さらに、ライブコマースを「全く知らない」と回答した割合が56.8%いることからも、ライブコマース市場は伸びしろがあると考えられます。

ライブコマースに関する利用実態調査

出典:MMD研究所「ライブコマースに関する利用実態調査」2021年5月25日

ライブコマースのメリットと注意点

ライブコマースは、写真や文章だけでは伝えきれない商品の魅力をアピールし、双方向のコミュニケーションによって視聴者の購買意欲を高められるなど、さまざまなメリットがあります。例えば、ライブコマース限定のセールをゲリラ的に行うなどのサプライズによって買い物のワクワク感を演出し、購買意欲を高めることができるのもメリットです。

一方、配信トラブルやインフルエンサーの不祥事による信用低下など、注意すべき点もあります。

ライブコマースのメリット

写真や文章だけでは伝えにくい商品の魅力を訴求できる

ライブコマースでは、配信者の表情や声色、身振り手振りで感情を表現し、商品を使ったときの驚きや感動をリアルに伝えることができます。また、商品の使い方やサイズ感、衣類であれば素材や着ごこち、シルエットなど、写真や文章では伝えにくい商品の魅力を訴求しやすいこともメリットです。

例えば、普段から店頭で接客をしているスタッフが配信すると、商品をよく知るスタッフならではの情報を顧客に伝えることができます。顧客との距離が近い店頭スタッフの言葉は、企業の公式SNSなどから発信される情報よりも、顧客にとってリアルな情報として受け取ってもらえるでしょう。

ライブならではの双方向性

視聴者から寄せられたコメントを配信者が読み上げ、その場で返答するなど、双方向性があるのもライブコマースの特長です。商品の詳細や、返品ルールなどに関する質問に配信者が回答することで、買い物に対する不安や疑問を解消することもできます。

ECサイトの店長やスタッフが視聴者と直接コミュニケーションをとることで、「手にとって商品を吟味することができないので、イメージ通りか不安」「商品が自分に合っているかを相談できる店員がいない」というECサイト特有の不安を払拭してくれます。

インフルエンサーの影響力を享受

ライブコマースにインフルエンサーを起用すると、そのインフルエンサーのファンやフォロワーなど、これまでに接点のなかった層にも商品やブランドを知ってもらうことができ、新規顧客の獲得に繋がります。リスティング広告ではリーチできなかった潜在層にも、自社商品やブランド、ECサイトを認知してもらう良い機会を創出できます。

ライブコマースの注意点

配信トラブル

通信回線が不安定でライブコマースの配信が途絶えたり、カメラやマイクなどの機材トラブルで配信が中断したりすることがないように、事前に配信テストをしておきましょう。ライブコマースの出演者が不慣れな場合は、台本を作成してリハーサルを行っておけば安心です。

事前告知による集客

ライブコマースの視聴者を集めるには、プレスリリースの配信やメルマガ会員へのメール通知、SNSのフォロワーへの告知が必要です。配信時間や内容を告知する際に限定セールを予告するなど、ライブコマースを視聴するメリットも伝えると視聴者数が増えやすくなります。

毎週決まった曜日にライブコマースを実施する、配信曜日や日時を変えてテストする、紹介する商品のターゲット顧客によって配信曜日や時間を変えてみるなど、さまざまな工夫をすると良いでしょう。

配信者の言動による信用低下

ライブコマースにインフルエンサーを起用する場合、注目を集めやすい一方で、インフルエンサーの発言や振る舞いによってブランドイメージが傷つくリスクがあります。ライブ配信では、配信者の些細な言動や態度から本音が透けてしまうものです。インフルエンサーが商品の仕様や魅力を理解していない、消費者に向けて批判的な発言をしてしまう、配信中のトラブルに対し不満げな態度をとってしまうなど、マイナスな発言や雰囲気が視聴者に伝われば、視聴者は企業に不信感を抱きかねません。インフルエンサーの選定時はプロフィールなどから情報を十分に集めたうえで選びましょう。

ライブコマースの準備は「プラットフォーム選定」「配信者の選定」「購入導線の整備」「商品の選定」の4点

ライブコマースを始めるには、プラットフォームの選定や配信者の選定、購入導線の整備などが必要です。ここからは、ライブコマースの事前準備の流れを解説します。

1)プラットフォームの選定

ライブコマース専用ツール

ライブ配信機能から決済機能まで、1つのプラットフォームで提供している、ライブコマース専用ツールがあります。視聴者はライブを視聴しながら、ECサイトに移動することなく買い物することができます。ライブコマースの実施方法は、ライブ配信の専用ページを生成して行う方法のほか、ECサイトやWebサイトにライブ配信機能を埋め込む方法など、ツールによって仕様の違いがあります。

主なツール
「HandsUP」「Live kit」「TAGsAPI」など

SNSのライブ機能

FacebookやInstagram、Twitter、YouTube、LINEなどのライブ機能を使って商品を紹介し、視聴者をECサイトに誘導する方法です。アカウントの取得も配信機能も無料で利用できることが最大の特長です。

また、これらのSNSは元からユーザー数が多く、顧客が使い慣れたUIでライブコマースを利用できる点も、ライブコマース参加のハードルを下げてくれるでしょう。

2)配信者の選定

ライブコマースを行う際は、配信者の選び方も重要です。ショップ店員や広報などの社員が出演するケースと、インフルエンサーなどに依頼するケースがあります。

社員がライブコマースに出演すれば、配信頻度を上げることができ、出演料も発生しません。何より、商品に対する知識も豊富です。一方で、カメラに向かって話しながら、視聴者から寄せられたコメントを読み上げて質問に回答するなど、高度なスキルが求められます。

社員による配信が難しい場合、インフルエンサーやライバー(ライブ配信を職業とする人)に依頼することもできます。その際は、商品のターゲット層にあったフォロワーを持つインフルエンサーを起用するのはもちろんのこと、商品を普段から使っていて、本気で商品の魅力を伝えてくれる方を選びましょう。

3)購入導線の整備

ライブコマースでは、配信中または配信後に視聴者をどのように誘導するか考えたうえで、事前に購入の導線を整備しておく必要があります。例えば、ライブコマースで視聴者限定セールを実施する場合、ECサイトにもセールの特設ページを作成しておくなど、関連部署が連携して準備を進めましょう。

ライブコマースを継続的に実施する場合は、視聴者数やECサイトへの流入数、コンバージョン率などを計測し、運用の改善につなげてください。

4)商品の選定

ライブコマースを活用している業種は、現時点ではアパレルや化粧品が目立ちます。しかし、テレビショッピングでサプリメントや家電、家具など幅広い商品が売れていることを踏まえると、商材を問わずライブコマースを活用できる可能性があるでしょう。

まとめ

ライブコマースの目的は商品を販売することですが、近年はライブコマースを「顧客との関係を構築するチャネル」と捉えるEC事業者も見られるようになりました。

KPIとして売上高を重視するあまり、「すぐに売上につながらない」と早い段階でやめることのないよう、初期は視聴者数やコメントの数などの「顧客との関係を強化できているか」という指標も視野に入れ、長期的に見て有効なのかを判断するとよいでしょう。

ライブコマースのハードルが高いと感じているEC事業者は、まずは無料で使えるSNSのライブ配信機能を活用し、顧客との接点を持つことを第一目標にすると、運用を始めやすいのではないでしょうか。