
SEO対策はECサイトの重要な集客施策の一つです。適切なSEO対策ができていれば、Googleなどの検索エンジンから長期的かつ安定的な集客が見込めます。
一方で、検索してほしいキーワードで自社のECサイトが上位表示されない、検索エンジンから訪れるユーザーが少ない、検索エンジンからの流入に波があるといった場合は、SEO対策が不十分な可能性があります。また、ECサイトのSEO対策は一般的なWebサイトのSEO対策に加えて、ECサイトならではの注意点もあります。
今回は、まずSEO対策とは何か、なぜ必要なのかを理解したうえで、自社で取り組める基本的なSEO対策を解説します。SEO対策は専門知識が必要な難しいものというイメージがあるかもしれませんが、そうではなく、自社で対応可能な対策もありますので、本記事を参考に取り組んでみてください。
ECサイトにSEO対策が必要な理由
SEOとは「Search Engine Optimization」の略。SEO対策とは、Googleなどの検索エンジン(Search Engine)の検索結果で上位表示されるために、Webサイトを最適化することを指します。
SEO対策とはユーザーにとって価値あるサイトを作ること
SEO対策に取り組む前に、まずGoogleは何によってWebサイトを評価して検索順位を決めるのかを理解しましょう。GoogleのSEOの評価基準で最も重要な視点がユーザーファーストです。これは、「Google が掲げる 10 の事実[1]」の「1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」という項目によく表れています。
Googleはユーザーが求める情報を適切に提案することができるよう、日々アルゴリズムを改善し、ユーザーに適した情報を上位表示しようとします。見方を変えると、Googleが定める基準に従ってSEO対策を行うということは、ユーザーにとって価値あるWebサイトを作ることにつながります。
そのように考えると、SEO対策をしたWebサイトというのは、検索エンジンだけでなくWeb広告やSNSから流入してきたユーザーにとっても、価値のあるWebサイトといえます。SEO対策は、単にWebサイトの表示順位を上げるだけでなく、Webサイトの品質そのものを上げることでもあります。
出典:[1] Google「Google が掲げる 10 の事実」
長期的な集客のためにSEO対策が必要
Web広告やSNSなどECサイトへの集客方法は様々ありますが、いずれも持続的なものではありません。一方でSEO対策は、一度上位表示されるとしばらくは大きな変動がなく、上位表示された状態が続きます。継続的な分析と改善は必要ですが、SEO対策は長期的な集客につながります。また、Googleから高評価を受けているページからリンクされているページも、良い評価を引き継ぐとされています。正しくSEO対策に取り組み、Googleに評価されているWebサイトは、それだけで大きな財産となるのです。
一方、SEO対策の注意点として、効果が出るまでに時間がかかることが挙げられます。Webサイトのジャンルやターゲット層、上位表示を狙うキーワードによって差がありますが、通常、効果が出始めるまでに3か月~半年程度の時間を要します。
WebサイトとECサイトのSEO対策の違い
ECサイトでもその他のWebサイトでも、基本的なSEO対策は共通しています。一方で、ECサイト特有のSEO対策の注意点もあります。それは、ページコンテンツが重複しやすいという点です。
同じ商品のサイズ・カラー違い、同シリーズの商品などは、説明文がほぼ同じというケースが大多数でしょう。しかし、同じコンテンツのページが複数あると、その商品を狙ったキーワードで上位表示させることが難しくなります。サイズ・カラー違いの商品は同じページ内にまとめて掲載することをおすすめします。同シリーズの商品でページを分ける場合、重複コンテンツでのGoogle評価の分散を避けるため、canonicalタグを用いて、ページの評価を1つのページに集約しましょう。
また、他社サイトでも販売している商品の場合、メーカー提供の説明文をそのまま使用すると、他社サイトとページコンテンツが重複しているため、他社より高い評価を得ることは困難です。SEO対策としては、例えば、自社ならではの商品のおすすめポイントやスタッフの使用感など、自社独自のコンテンツも掲載しましょう。
特に商品数の多いECサイトの場合、カテゴリページや商品ページの構造も、検索エンジンとユーザーの両方に分かりやすいものとなるよう注意が必要です。
自社でできるSEO対策の基本 - キーワード&タイトル編 -
SEO対策は自社で対応できることもあります。まずは社内でできることから着手してみましょう。社内でできる対策をすべて行ったうえで、さらに難易度の高いSEO対策に着手したい場合は、SEO対策専門の会社などの外注サービス導入も検討してみましょう。
SEO対策を大きく分けると、以下の2つに分類できます。
内部対策
自社のECサイトを改善することで上位表示を目指す施策が内部対策です。タグやページ構造、画像サイズといったページ上では見えない部分を改善して、検索エンジンにもユーザーにも理解しやすいWebサイトにする、あるいはページタイトルや商品説明文などのコンテンツを改善するなど、さまざまな施策があります。
外部対策
被リンクの獲得によって第三者からのWebサイトの評価を高めるなど、自社のECサイト以外の要因で上位表示を目指す施策です。ブランドサイトやコーポレートサイト、採用サイトなど、自社で運営しているECサイトとは別のサイトがある場合は、それらのサイトにECサイトへのリンクを貼ることも外部対策になります。
外部対策はできることが限られているため、一般的にSEO対策として取り組むのは内部対策が中心です。今回は、内部対策の中でもコンテンツを改善することによるSEO対策に焦点をあてて解説します。これらの対策は、Web制作に関する専門知識が豊富でなくとも、今回解説するような基本のポイントを押さえれば対応できる最も基本的なSEO対策といえます。まずは自社でできるところから取り組みましょう。
適切なキーワード選定
内部対策で重要になるのが、キーワード選定です。キーワード選定は、あるWebページを検索エンジンにおいてどのようなキーワードで上位表示させたいのか、を基準にキーワードを設定することです。
この際重要なのが、「ビッグキーワード」ではなく「ロングテールキーワード」を選定することです。ビッグキーワードとは、検索ボリュームが多い単語のこと。ロングテールキーワードとは、検索数がある程度絞られる2~3つの単語の組み合わせのことです。例えば、「化粧水」はビックキーワードですが、「化粧水 プチプラ 乾燥肌」はロングテールキーワードです。
キーワード選定にあたり、1つのロングテールキーワードは1つのページにのみ対応するようにします。複数のページに同じキーワードを使うと、そのページ同士で競合して検索順位が上がりきらないことがあるため注意しましょう。また、キーワードは最初から絞りこむのではなく、まずは複数の候補をリストアップし、検索ボリュームや競合の多さなどを総合的に判断して絞りこみます。
キーワードの探し方
ECサイトの場合、各商品ページについてキーワード選定を行います。そのため、商品ジャンルや商品カテゴリがキーワードの1つに入るのが一般的です。
すでにECサイトを運用している場合は、まず、これまでユーザーがどのようなキーワードでそのページに流入しているのかを確認すると参考になります。これは、GoogleサーチコンソールなどのWeb解析ツールを利用することで分析可能です。
また、検索エンジンや大手ECモールの検索窓に商品ジャンルや商品カテゴリを入力した際、サジェストされるキーワードも参考になります。競合サイトがある場合は、競合商品のページタイトルや見出しにどういったキーワードが使われているか確認しましょう。
さらに、あるキーワードの関連キーワードやおおよそのボリュームを調査できるツールもあります。Googleの「キーワードプランナー」や「ラッコキーワード」「キーワード選定ツール」などがあります。
ECサイトならではのキーワード選定
ECサイトならではのキーワード選定のポイントとして、商品ページを上位表示させるだけではなく、その商品の購入意欲が高いユーザーが検索するキーワードが必要です。
一般的に購入意欲が高いのは、商品名や商品ジャンルと一緒に「価格」「口コミ」「評価」「ランキング」「プレゼント」といったキーワードで検索しているユーザーです。ただ、それだけでは競合が多いので、ECサイトや商品の特徴を表すキーワードも組み合わせる必要があります。
また、何らかのお悩みの解決策を探しているユーザーも購入意欲が高いといえます。例えば、「乾燥 ヘアケア」で検索しているユーザーは、髪の乾燥を解決できるヘアケア商品の購入意欲が高いと考えられます。
共起語
共起語とは、主軸とするキーワードと一緒に使われることの多い言葉のことです。検索エンジンであるキーワードを入力したときにサジェストされるキーワードも、共起語です。
例えば、「化粧水」というキーワードに対して「ニキビ」「プチプラ」といった言葉が一緒に検索されており、これらは共起語といえます。前述の商品名や商品ジャンルと一緒に検索されることの多いキーワードも、共起語です。
共起語には、主軸となるキーワードに対するユーザーのニーズが表れます。自社の商品や商品ジャンル、関連キーワードの共起語を洗い出すことで、ユーザーのニーズに合ったロングテールのキーワード選定につながります。共起語を検索できる無料ツールもありますので、キーワード選定に活用してみましょう。
重要なキーワードはタイトル前方に
キーワードを選定したら、商品ページのタイトルや見出しに使用します。また、検索結果でそのページの説明文として表示される「description」にもキーワードを使用します。
タイトルや見出しでは、重要なキーワードほど前方に配置しましょう。大きくはないものの、キーワードの位置は検索順位に影響すると言われています。また、キーワードが後ろにあるとユーザーの目にとまらず、上位表示されても、タイトルを一目見ただけではクリックしてもらえない可能性もあります。検索結果で表示されるタイトルは30文字程度なので、長くなりすぎないことも重要です。
商品情報を充実させる
ページごとに選定したキーワードに基づき、各商品ページのコンテンツを充実させましょう。コンテンツが豊富な商品ページは、ユーザーにとって有益であり、Googleがそのページの内容を理解する手助けにもなります。
商品ページの情報としては、商品仕様やメーカー提供資料に加え、以下のようなコンテンツを作成することで、ページの独自性を出すことができ、SEO対策に有効です。
- ・自分に合う商品の選び方
- ・類似商品との比較
- ・使用シーンの提案
- ・開発者・担当者へのインタビュー
- ・スタッフが使用した感想
- ・ユーザーレビュー
- ・ユーザーへのインタビュー
特集ページやコンテンツマーケティングもSEOに貢献
商品ページの他に、季節やイベントに合わせた特集ページを作成することで、サイト全体のコンテンツを充実させることができます。これもSEO対策として有効です。
特集の内容は、取り扱う商材によっても異なりますが、よくあるテーマ例として、以下があります。
- 春:新生活、花粉症対策、母の日、父の日など
- 夏:紫外線対策、暑さ対策、お中元、お盆など
- 秋:行楽、運動会、ハロウィンなど
- 冬:乾燥対策、防寒、お歳暮、クリスマス、年末年始など
- ランキング:人気順、おすすめ順など
- ギフト:誕生日、結婚祝い、出産祝いなど
このほかに、各業界・各商品ならではの特集を作成すると、さらに独自性が高まります。独自性の高いコンテンツは、Googleの評価が高くなりやすく、SEO対策として効果的です。
また、コンテンツマーケティングでよく使われる手法ですが、ECサイト内にブログを開設してコンテンツを充実させることも、SEO対策になります。コンテンツマーケティングとは、見込み客にとって価値ある情報を継続して発信することで、ブランドや商品を認識したうえで顧客になってもらい、さらに優良顧客へと顧客との関係性を育成していくことです。
ECサイトのブログでは、商品ページと同様にキーワード選定を行ったうえで、特定の商品ページには掲載しきれないような、ノウハウや知識を紹介するのがおすすめです。例えば、化粧品ならよく使われる成分の知識や年齢による肌質の変化、季節ごとのスキンケア法などです。特定の商品に紐づく話は各商品ページに記載できますが、取り扱っている複数の商品、ジャンル全体に関わる話はブログで取り上げるのがおすすめです。
まとめ
本記事で解説したように、SEO対策には専門的な外注サービスに頼らずとも、自社で取り組むことのできる対策もあります。効果が出るまでに時間はかかりますが、一度効果が出始めればある程度は中長期的に効果が持続します。Googleなどの検索エンジンからの流入に課題を感じているのであれば、まずは本記事を参考に、改善できそうなところから対策を始めましょう。完璧でなくとも、できるところからでも始めることで、その分早く効果が期待できます。
また、ECサイトの商品ページ作成時にキーワード選定を行っていても、時間の経過とともにユーザーの検索ニーズが変わっている可能性もあります。例えば、2020年以降、日常的にマスクをつける生活が当たり前になったことで、スキンケア用品に対してマスクによる肌荒れをケアするニーズや、化粧品に対してマスクにつかないファンデーション、マスクで口元が隠れる一方で目元を印象的に見せるメイクのニーズが生まれました。これらのニーズは、それ以前の検索キーワードではカバーできないものです。
これからSEO対策に取り組むという場合はもちろん、SEO対策を行っているはずなのに効果が落ちてきたという場合も、改めて今回解説した点を見直してみてください。