「UGC」とは?マーケティングに活用するメリットと事例、注意点|5分でわかるEC用語

「UGC」とは?マーケティングに活用するメリットと事例、注意点|5分でわかるEC用語

ECサイトのマーケティングで注目されている「UGC」。用語の意味や、UGCをECサイトに活用するメリットと注意点、活用事例などを解説します。

UGC(User Generated Contents)とは?

UGCとは、商品やサービスの利用者(ユーザー)が作成したコンテンツの総称です。SNSやブログ、掲示板、比較サイト、動画共有サービス、レシピサイトなどにユーザーが投稿したコンテンツが該当します。ECサイトに投稿された商品レビューもUGCです。なお、UGCはUser Generated Contentsの略語で、直訳すると「ユーザー生成コンテンツ」です。

総務省が実施した調査によると、SNS利用者の62.1%が「知りたいことについて情報を探すため」にSNSを利用していると回答しました[1]。SNSはユーザー同士がコンテンツを起点につながり、コメントなどでコミュニケーションを取るツールです。しかし最近では「検索」を目的としてSNSを使うユーザーも増えています。特に商品を購入する前にSNSで情報収集すると、商品を購入した消費者の生の声を知ることができることから、商品の口コミを知りたいユーザーにとって便利です。今ではSNSは巨大な口コミサイトという側面も持っています。

ブログや口コミサイトなどが本格的に普及した2000年代以降、インターネット上で写真や文章、イラストなどの多様なUGCが大量に生成されるようになりました。そして、InstagramやTwitter、FacebookといったSNSが登場したことで、一般ユーザーの口コミがSNSを通じて発信されるようになり、UGCは爆発的に増え続けています。SNSの国内利用率は2019年時点で69.0%[2]であり、広く浸透していることを踏まえると、マーケティング活動においてUGCを無視することはできません。

出典

[1]総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」P11,2021年6月18日

[2]総務省「令和2年通信利用動向調査の結果」P10,2021年6月18日

CGMとUGCの違い

UGCに関連する言葉として「CGM」があります。CGMとはConsumer Generated Mediaの略語で、消費者が作成したコンテンツによって成立しているメディアを意味します。具体的なサービスとしては「クックパッド」「食べログ」「アットコスメ」などがあります。

UGCはコンテンツそのものを指すのに対し、CGMはコンテンツが投稿されるサービス(メディア)を意味します。UGCによって成り立っているサービスがCGMです。

UGCをマーケティングに活用する4つのメリット

UGCは商品の販促やECサイトへの集客だけでなく、商品開発やクリエイティブ制作に生かすことも可能です。UGCを活用する4つのメリットを紹介します。

1)ユーザーの生の声が購入を後押し

UGCは消費者目線のリアルな口コミなので、企業が発信した広告よりも身近に感じ、信ぴょう性が高いと考える消費者もいます。特に、知人・友人など身近な知り合いの投稿、好きなインフルエンサーが投稿した情報は信ぴょう性が高く、共感を生みやすいものです。商品に対するポジティブな口コミは、商品の比較、検討段階にいる消費者の購入を後押しします。

2)ユーザーボイスを商品開発に活用

UGCには「ユーザーの本音」が表れます。商品やサービスに関するUGCを分析し、ユーザーが感じている不満やニーズ、さらには企業側が想像していなかった商品の使い方や、商品の魅力が伝わる写真の撮り方などをUGCから見つけられる可能性があります。UGC分析はユーザーインタビューと同等か、それ以上の価値ある情報を得られるものです。積極的に商品開発やマーケティングのヒントとしてUGCを活用しましょう。

3)運用次第では販促コストを抑制

UGCをうまく活用すれば、広告よりも費用を抑えて商品の販促効果を得られる可能性があります。例えば、ハッシュタグキャンペーンを実施して、大量の口コミをSNS上に醸成できれば、SNS広告を使った場合よりも高い費用対効果でリーチ数を獲得できるかもしれません。

4)クリエイティブの制作費削減

UGCをECサイトのコンテンツや広告のバナーに活用すると、クリエイティブの制作費と制作期間を削減できます。例えば、商品ページに掲載する写真を制作するためにカメラマンやモデルを起用すると費用が発生しますが、SNS上のUGCをクリエイティブに使用すれば、大幅に撮影コストや工数を削減できます。投稿者に使用許可を取るなど、活用するまでに手間はかかりますが、制作コストや制作工数の削減効果を踏まえると、UGC活用を検討する価値はあるでしょう。

ECサイトのUGC活用事例

鈴廣オンラインショップ かまぼこのある暮らし UGC 事例

「かまぼこのある暮らし」は、かまぼこのレシピや食べ方、栄養素、喜ばれる贈り方まで、日常の中でのかまぼこの楽しみ方を紹介するライフスタイルマガジン。ユーザーがInstagramに投稿した写真を埋め込んで一覧で紹介している。

引用元:鈴廣かまぼこ株式会社 様「かまぼこのある暮らし

UGCをECサイトのコンテンツに活用している事例を紹介します。「HIT-MALL」を導入している鈴廣かまぼこ株式会社様は、かまぼこに関するライフスタイルメディア「かまぼこのある暮らし」のコンテンツとして、ユーザーがInstagramに投稿した写真を埋め込み、一覧で紹介する「#かまぼこのある暮らし」を掲載しています。

埋め込まれた写真をクリックすると、写真内の商品画像と商品名が表示され、公式ECサイト「鈴廣オンラインショップ」の商品ページに遷移します。ユーザーがInstagramに投稿したアレンジレシピや、日常の食卓に溶け込んだ商品の写真は、閲覧した人の購買意欲が高まるコンテンツです。

また、写真の投稿者自身もかまぼこのある暮らしに掲載されることを喜んでいただいているという、非常に良い成功事例です。

UGC活用の注意点

UGCをマーケティングに活用する際は、著作権の確認やステルスマーケティングの防止などに注意する必要があります。主な注意点を解説します。

著作権の確認と利用許諾

UGCをECサイトなどに掲載する場合、コンテンツの投稿者の許可を取る必要があります。ブログやSNSなどに投稿された写真や文章は、原則として投稿者の著作物です。許可なくECサイトなどに掲載すれば、著作権侵害にあたる可能性があります。InstagramやFacebookなどの投稿埋め込み機能を使ったとしても、写真や文章などコンテンツそのものの権利侵害を回避したとは限りません。なお、SNS上のUGCを検索し、投稿者に掲載許可を申請するツールもあります。許可申請を効率化するために、ツールを活用するのも良いでしょう。

キャラクターや芸能人などの写り込みに注意

UGCの投稿者に利用許諾を取ったとしても、キャラクターや芸能人などが写真に映り込んでいる場合、その写真をECサイトなどに掲載すると、商標権や肖像権を侵害する可能性があります。違法性の有無は個別に判断されますが、権利者とのトラブルを避けるためにも写り込みには十分注意しましょう。

参考:文化庁「いわゆる「写り込み」等に係る規定の整備について

ステルスマーケティングの防止

UGCに高い販促効果があるのは、「UGCは商品を実際に使った人の本音である」とユーザーが認識しているからです。消費者との信頼関係を大切にするうえで、ステルスマーケティングは避けなくてはいけません。投稿者に対して報酬を支払っているにもかかわらず、そのことを隠して口コミを投稿してもらったことが明るみになれば、企業に対する信頼は大きく損なわれるでしょう。インフルエンサーなどに報酬を支払った場合は、企業との関係性を明示するために「#pr」「〜とのタイアップ投稿」「広告」などの文言を付けて投稿してもらうようにしましょう。

薬機法違反に注意

化粧品やサプリメントなどの販促にUGCを活用する場合、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)に違反しないよう注意が必要です。例えば、法律で認められていない化粧品の効果効能をECサイトなどに表示した場合、広告と見なされれば薬機法違反になる可能性があります。商品購入者が投稿した口コミなどのUGCをWebサイトなどに掲載する場合でも、UGCの内容や使い方によっては薬機法違反になる可能性があるため注意しましょう。

参考:厚生労働省「医薬品等の広告規制について

まとめ

UGCをECサイトのマーケティングに活用すると、商品の認知から購入促進まで、さまざまな効果を期待できます。商品やブランドに対して好意的なUGCがインターネット上に増えれば、強力な販促効果を発揮するでしょう。

ただし、UGCはあくまでも商品購入者が自発的に投稿するものであり、UGCの内容を企業が直接コントロールすることはできません。SNSに投稿したくなるような魅力的な商品・ブランドを作り、ファンが増えるサービスを提供することが、好意的なUGCを増やすために何よりも優先的に取り組むべきことでしょう。

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