オンラインの接点をきっかけに、消費者を実店舗に誘導するO2O(Online to Offline)。その詳しい意味やメリット、施策、効果を上げるポイントまで、具体例を交えて分かりやすく解説します。
「実店舗の集客を強化するためにO2Oを始めたい」
「O2Oの手法や具体例を知りたい」
「データドリブンなO2Oの実現方法について理解を深めたい」
このような方にオススメの、すぐに使えるO2Oのノウハウをお伝えします。
O2Oの意味・具体例・施策に使われるツール
まずはO2Oの意味や、施策に使われるツールを解説します。
O2Oは「Online to Offline」の略称で、ECサイトや、SNS、アプリ、ネット広告、メルマガといったオンラインの接点をきっかけに、実店舗やポップアップストアなどオフラインの場所に消費者を誘導するマーケティング手法を指します。
小売店や、商業施設、飲食店、エステサロン、美容院など、さまざまな業種の企業が集客手段としてO2Oに取り組んでいます。例えば、近隣店舗で使えるクーポンをアプリのプッシュ通知で顧客に配信し、来店を促すといった施策です。O2Oは購買履歴にもとづくセグメント配信や、位置情報を活用したターゲティングなど、デジタルならではの施策を行えるのも特徴です。

O2Oの施策に使うツール
O2Oの施策に使うツールにはさまざまなものがあります。新規顧客にリーチするにはSNSや、ショート動画、オンライン広告、Googleビジネスプロフィールなどが効果的です。既存顧客と継続的にコミュニケーションを取るにはアプリ、メルマガ、LINE、ライブ配信、ECサイト(マイページ)などが有効です。
なお、O2Oの施策を単発で実施するのであれば、SNSやネット広告などを使ってすぐに実行できます。一方、マーケティングシナリオに沿ったセグメント配信や、施策の効果検証を行うには、実店舗とECの顧客データを統合した上で、CRMツールやMAツールとのデータ連携が必要になる場合もあります。データドリブンなO2Oを実現する方法については「データドリブンなO2Oを実現する方法」で詳しく解説します。
新規顧客にリーチ
- SNS
- ショート動画
- オンライン広告
- Googleビジネスプロフィール
既存顧客に対して継続的にアプローチ
- アプリ
- メルマガ
- LINE
- ライブ配信
O2O施策の具体例
O2O施策の具体例を紹介します。割引クーポンなどを顧客に提供して来店の動機を作る施策のほか、店舗スタッフが動画やライブ配信でお店を紹介したり、商品の受け取りをきっかけに来店を誘導したりするなど、さまざまな手法があります。
<クーポン・セール>
- EC会員に対して、近隣店舗で使えるクーポンを公式アプリで配信
- 店舗限定セールやイベント情報をLINEや、メルマガ、SNSなどで発信
<店舗スタッフが宣伝>
- 店舗スタッフがライブ配信で新商品や限定商品を紹介し、視聴者を実店舗に誘導
- TikTokや、Instagramリール、YouTubeショートなど短尺動画で実店舗を紹介
<商品の受け取り>
- 店舗在庫の検索機能(在庫表示機能)をECサイトに実装
- 店舗受取(BOPIS)や試着予約の機能をECサイトに実装
O2Oのメリットと小売業界で重要視される理由
O2Oのメリットは「ターゲティングで集客効率が向上」「ECと実店舗の併用でLTV最大化」「データドリブンなマーケティングが実現」といったことがあります。
メリット1:ターゲティングで集客効率が向上
O2OはメルマガやLINEを使ったセグメント配信や、SNSのターゲティング広告など、集客対象を絞って施策を打つことができます。顧客にとって最適なコンテンツをセグメントごとに出し分けることで、テレビCMや新聞折込チラシといったマス広告と比べて効率的な集客が期待できます。
メリット2:実店舗とECの併用でLTV最大化
ECと実店舗を併用する顧客は、どちらか一方を使う顧客よりも客単価やLTVが高い傾向にあるため、EC会員を実店舗に誘導してECと実店舗の併用を促進することでLTV最大化につながります。来店したEC会員を店舗スタッフが接客し、オンラインだけでは難しかった"ファン化"を促進することもできるでしょう。
メリット3:データドリブンなマーケティングが実現
顧客の属性や、購買履歴、閲覧履歴などのデータを活用すれば「どのような人たちに」「どのようなコンテンツを」「どう届けるか」といったマーケティングシナリオを設計することができます。閲覧数やクーポンの消化率など施策の効果を数字で把握できるため、PDCAサイクルを回して費用対効果の改善に取り組むことも可能です。また、O2Oの施策を通じて得られた行動データを、売場づくりや商品開発に活かすこともできるでしょう。
O2Oが重要視される背景
小売業界でO2Oが広がった背景には、実店舗を取りまく消費行動が劇的に変化したことがあります。
かつて消費者はマスメディアで商品を認知し、実店舗を訪れて購入するのが一般的でした。しかしスマートフォンが普及した現在はSNSやショート動画で商品を認知し、検索エンジンで商品のスペックや口コミを調べてから実店舗を訪れる消費者が増えています。インターネット上の情報が消費行動に与える影響が強まった結果、実店舗の集客手段としてオンラインを起点とした集客施策(=O2O)の重要性が高まりました。
マスメディアの影響力が相対的に低下していることもO2Oに注目が集まっている理由の1つです。特に若年層はテレビの視聴率や新聞の購読率が低いため、マス広告ではリーチしきれません。そういった消費者を実店舗に集客する手段としてO2Oの存在感が高まっています。
「オムニチャネル」や「OMO」との違い
O2Oと混同しやすいマーケティング用語に「オムニチャネル(omni channel)」や「OMO(Online Merges with Offline)」があります。O2Oへの理解を深めるためにオムニチャネルやOMOの意味をあらためて整理しておきましょう。
オムニチャネルとは?
オムニチャネルは"あらゆる"という意味を持つ「omni(オムニ)」と、"経路"という意味の「channel(チャネル)」を組み合わせた造語です。実店舗や、ECサイト、アプリ、コールセンターなど、あらゆるチャネルで一貫性のある買い物体験を提供することを通じて、顧客体験の向上を目指します。全てのチャネルで共通のサービス(実店舗とECの共通ポイントなど)を提供できるように、顧客データや在庫データなどを一元化する必要があります。イーコマブログの別記事でも詳しく解説しておりますのでぜひ参考にしてください。
「オムニチャネル」とは?マルチチャネルやOMOとの違い・意味を解説【お役立ち資料あり】
「オムニチャネル」の意味やメリット、「オムニチャネル」に関する消費者意識調査について解説・紹介しています。
OMOとは?
OMO(Online Merges with Offline)は「オンラインとオフラインの融合」という意味を持つマーケティングの概念です。ECサイトや、アプリ、SNSといったオンラインと、実店舗やポップアップストアなどオフラインを融合させ、カスタマージャーニーを最適化することで優れた顧客体験の提供を目指します。例えばモバイルオーダーや客注(実店舗で欠品した商品を店頭のタブレット端末で注文・決済し、顧客の自宅に届けるサービス)などがOMOです。
| O2O | オムニチャネル | OMO |
|---|---|---|
| オンラインの施策によって、消費者をオフライン(実店舗など)に誘導すること | あらゆるチャネル(EC・実店舗・コールセンターなど)で共通のサービスを提供し、顧客体験を高めていく取組 | オンラインとオフラインを融合してカスタマージャーニーを最適化し、顧客体験を高めていく取り組み |
O2Oで成果を上げる3つのポイント
O2O施策の効果を高めるには「自前の顧客データを蓄積する」「顧客にメリットを提供する」「オンラインとオフラインの体験に一貫性を持たせる」という3つのポイントを押さえることが重要です。
O2Oで成果を上げる3つのポイント
- 自前の顧客データを蓄積する
- 顧客にメリットを提供する
- オンラインとオフラインの体験に一貫性を持たせる
自前の顧客データを蓄積する
セグメント配信を行うには顧客データベースが必要です。自社ECサイトでメルマガ会員を獲得したり、店舗スタッフが店頭での接客を通じて会員アプリの登録を促したりするなど、オンラインとオフラインの両輪で取り組むと顧客データが集まりやすくなります。
顧客にメリットを提供する
O2Oの施策は「○○店限定セール」「今日だけ10%OFFクーポン」「誕生日特典」といった"限定感"や"特別感"を演出すると来店促進に効果的です。顧客の購買履歴や閲覧履歴を踏まえて「あなただけにオススメの商品」という訴求も有効でしょう。
O2Oのメリットを消費者側の視点で考察すると、O2Oで成果を上げるポイントが、より明確になります。キーワードは「お得・安心感・便利」です。
実店舗のセール情報やクーポンなどをSNS・LINE・メルマガなどで発信すれば、顧客は「お得」に買い物することができます。また、店舗在庫を検索できれば"確実に買える"という「安心感」を得られて来店の動機になります。試着予約や店舗受取などのサービスがあれば「便利」だと感じてリピーターになってくれるかもしれません。
このように「お得・安心感・便利」という価値を顧客に提供することがO2Oを成功に導く鍵になります。
オンラインとオフラインの体験に一貫性を持たせる
オンラインで訴求した内容と、実店舗での体験に一貫性を持たせることも大切です。
例えば、EC会員に店舗限定クーポンを配信した際に、店舗スタッフがクーポンの内容を把握していなかったり、クーポンの使い方を理解していなかったりすると、店頭での接客が悪印象を与えてしまい顧客にストレスを与えてしまいます。デジタルマーケティングの担当者と店舗スタッフが連携して買い物体験を高めていくことが重要です。
データドリブンなO2Oを実現する方法
O2Oは実店舗の集客強化につながる有効な選択肢ですが、セグメント配信や効果測定を行わないと、O2Oの効果を十分に発揮することはできません。O2Oを単なる集客の手段で終わらせず、顧客満足度の向上へとつなげるには、データドリブンなマーケティングを実現するための"データ連携"が鍵になります。
データドリブンなO2Oを実現する手段として、ECプラットフォームを活用する企業が増えています。ECパッケージをハブとして、実店舗・自社ECサイト・顧客データベース・CRMツール・MAツール・在庫管理システムなど各種システムのデータを連携する方法です。
各種システムのデータ連携によって、データドリブンなO2Oを実現する具体例を紹介します。
顧客データの統合(共通ID)
実店舗とECの顧客データを統合(一元化)し、1人の顧客を1つのIDで管理することで、O2O施策のセグメント配信や、精度の高い効果測定が可能になります。
在庫データの反映
店舗ごとの在庫データを一定時間ごとにECサイトに同期するバッチ処理を行うと、店舗在庫の検索機能(または在庫表示機能)をECサイトに実装することができます。
MAツールの連携
実店舗とECの顧客データを統合したデータベースを構築し、MAツールとデータ連携すると、ステップメールの自動配信などが実現できます。
物流との連携
店舗受取(BOPIS)の受注処理を自動化するには、受取場所となる店舗に商品を配送するための物流連携(在庫の店舗間移動やEC倉庫からの出荷など)が必要になります。
O2Oに適したECプラットフォームの条件
こうしたデータドリブンなO2Oを実現するために必要なECプラットフォームの条件は主に次の3点です。
ECプラットフォームの条件
- 実店舗と自社ECサイトの顧客データを統合できる
- CRMシステムやMAツールなど、外部ツールと連携できる
- 在庫管理システムや物流管理システムとデータ連携できる
これらの条件を備えた"カスタマイズ可能なECプラットフォーム"を選ぶと、O2Oの施策の幅が広がり、顧客満足度を高めながら実店舗の集客を強化することができます。
O2O・オムニチャネル・OMOも実現するHIT-MALL
アイテック阪急阪神が提供しているECサイト構築・運用パッケージ「HIT-MALL」は、ECに必要な機能を網羅し、かつ、カスタマイズによって企業ごとのニーズに合わせた機能を個別開発することが可能です。
実店舗・EC・アプリ・MAツール・CRMシステム・基幹システム・倉庫管理システムなどとのAPI連携も行えますので、データドリブンなO2Oはもちろん、オムニチャネルやOMOも実現できます。HIT-MALLに関するお問い合わせや資料請求をご希望の方は、下記のページからお気軽にご連絡ください。
FAQ
Q1: O2O施策で効果的に実店舗への集客を促す具体的な方法は何ですか?
A1: 近隣店舗で使えるクーポンの配信や店舗限定セール情報のLINE・メルマガ発信が効果的です。動画やライブ配信での店舗紹介も実店舗誘導に有効です。
Q2: 実店舗とECの顧客データを統合するメリットは何ですか?
A2: 顧客を共通IDで管理でき、セグメント配信や効果測定の精度が向上します。これにより効率的なO2O施策が可能になります。
Q3: O2OでLTVを最大化するにはどのような工夫が必要ですか?
A3: EC会員を実店舗に誘導し、店舗スタッフによる接客でファン化を促進するとLTVが高まります。ECと実店舗の併用促進が鍵です。
Q4: O2O施策で顧客に提供すべきメリットにはどんなものがありますか?
A4: 「限定セール」「当日限定割引クーポン」「誕生日特典」など限定感や特別感を演出すると来店促進に効果的です。
Q5: オンラインとオフラインの体験に一貫性を持たせるにはどうすれば良いですか?
A5: 店舗スタッフがキャンペーン内容やクーポン利用方法を正確に把握し、マーケティング担当者と連携して接客を行うことが重要です。
Q6: O2O施策の効果検証やデータドリブンマーケティングを実現するには何が必要ですか?
A6: 実店舗・ECサイト・CRM・MAツールなどのデータ連携が必須です。「HIT-MALL」のようなカスタマイズ可能なECプラットフォームの活用が効果的です。
Q7: データドリブンなO2O(Online to Offline)3つの条件を教えてください。
A7: データドリブンなO2Oを実現するために、ECプラットフォームには、1. 実店舗と自社ECサイトの顧客データを統合できること、2. CRMシステムやMAツールなど外部ツールと連携できること、3. 在庫管理システムや物流管理システムとデータ連携できること、の3つの条件が必要です。
Q8: 店舗在庫をECサイトに反映させる方法はありますか?
A8: バッチ処理で店舗ごとの在庫データを定期的に同期し、ECサイトに在庫表示機能を実装することが可能です。
Q9: O2O施策に適したECプラットフォームの条件は何ですか?
A9: 実店舗とECサイトの顧客データ統合、CRMやMAツールとの連携、在庫管理・物流システムとのデータ連携ができることが重要です。
Q9: O2O施策で新規顧客獲得に効果的なオンラインチャネルは?
A9: SNS、ショート動画、オンライン広告、Googleビジネスプロフィールが新規顧客へのリーチに有効です。
Q10: 「HIT-MALL」を活用したO2Oの実現例はどのようなものですか?
A10: アイテック阪急阪神の提供する「HIT-MALL」はAPI連携で実店舗・ECサイト・アプリ・CRM等と繋ぎ、データドリブンなO2Oやオムニチャネル、OMOの施策実行を支援します。
Q11: HIT-MALLは、データドリブンなO2Oを実現するために、具体的にどのようなデータ連携ができますか。
A11: HIT-MALLは、データドリブンなO2O実現のために、実店舗とECの顧客データを共通IDで統合する連携が可能です。また、店舗在庫データをECサイトに同期する在庫データの反映や、MAツール連携、店舗受取(BOPIS)物流との連携も実現可能です。

