EC担当者向けECサイトのアクセス解析・データ分析の基本

EC担当者向けECサイトのアクセス解析・データ分析の基本

ECサイトの売上を伸ばすためには、サイトのアクセス解析やデータ分析は非常に重要な業務です。この業務を定期的に実施していくことで、ECサイトの課題や改善すべきポイントが見えてきます。

しかし、いざデータ分析といっても、数多くの指標がある中でどのデータを見ればいいか分からない、指標を見てもそこからどうすればいいか分からないという方も多いと思います。そこで今回は、EC担当者がアクセス解析結果からデータ分析を行う際に見るべきKPIや、得られた結果からどのような改善につなげたらよいかを説明していきます。

EC担当者が見るべきKPI

Google アナリティクスに代表されるアクセス解析ツールでは、訪問数(=セッション数)やページビュー数などのECサイトのアクセス情報はもちろん、設定次第で商品の売上情報なども見ることができます。特にECサイトの場合、アクセス情報に紐づく売上情報は非常に重要なので、必要な情報が得られるようアクセス解析ツールを適切に設定できているか、確認と準備を行ってください。

ここではアクセス解析ツールから得られる情報を例に挙げ、ECサイト運営においてどのようなデータを見ればよいか、KPIとなる指標を紹介していきます。

売上=セッション数×CVR×単価

ECサイトに限らず、ショップにとって「売上」は非常に重要な指標になります。この売上を伸ばすことがショップにとっての最重要課題といえるでしょう。ECサイトにおいて、売上は以下のように分解することができます。

売上の計算方法

 売上 = セッション数 × CVR × 単価 

この式から、「セッション数」「CVR」「単価」のどこか一つでも数値を上げると売上を伸ばすことができることが分かります。逆に売上の減少がみられた場合も、これらの指標のどこが下がっているかを確認してみてください。数値が低下している指標を見つけることで、改善すべき課題が見えてくるはずです。

デバイス、リピート種別、流入元

WEBサイトにおいて、デバイス、リピート種別、流入元は代表的な分析軸です。

デバイスではPC、スマートフォン、タブレットの端末別のデータを見ることができます。昨今はスマホファーストと謳われる程スマートフォンの利用が増えており、スマートフォンの使い易さを向上することは重要です。特にスマートフォンでは入力フォームの画面での離脱や、ボタンが見えにくいため次ページへ遷移しにくいなどのケースも見られます。PCと比較すると改善が必要な個所を見つけやすくなるでしょう。

リピート種別は新規顧客、リピーターに分かれており、ユーザーがECサイトに初めて訪れたかどうかを確認できます。取り扱う商材にもよりますが、ECサイトを開設してから期間が経過しているにも関わらずリピーターが少ない場合は、一度サイトに訪れた人や過去に購入した人へ「もう一度見たい、買いたい」と思ってもらえない原因が何かしらあるはずです。その原因を調べ、リピート訪問を獲得するための施策が必要です。逆に、新規顧客が増えていかない場合は、新規顧客向け施策を検討してください。

流入元はどこからサイトに訪れたかを知ることができます。自然検索、有料検索、参照サイトなど様々な流入元が存在します。流入元は非常に重要な分析軸で、もし自然検索が少なければSEO対策を強化しなければなりませんし、参照サイトが少なければ外部リンクを増やすなどの対策が必要になります。

このように、流入元を見ることで、強化すべき流入元を判断することができます。

スクロール率

スクロール率はページがどこまでスクロールされたか、つまりどこまで見られたかを示す指標です。この指標を確認することで、ユーザーに見て欲しい箇所まで到達してもらえているかを判断することができます。

ページの最後にCTAボタンを設置しているものの、ページの半ばで離脱してしまっているような場合には、CTAボタンの位置の調整やページデザインの変更などを検討する必要があります。ECサイト運営者の意図とユーザーの意図の乖離を測るための指標となるでしょう。

CTAボタンとは?

Call To Action ボタンのこと。ECサイトでは、商品やサービスの購入(コンバージョン)に繋げるためのボタンやバナーなどの要素を意味します。

KPIを確認するためのツール

前の章では代表的な指標と、その指標からどのような点に気を付ければよいかを解説してきました。ここからはその指標の見方について、代表的なアクセス解析ツールであるGoogle アナリティクスを例に見ていきます。

Google アナリティクスで各指標をみる方法

まずは売上の構成要素を確認する方法から説明します。その前に、Google アナリティクスで売上を見るためには、eコマース機能を使えるようにしなければなりません。ECサイトを運営する場合は必ずeコマース機能を使えるようにしておいてください。(eコマース機能の設定方法は、Googleのヘルプ をご確認ください。)

それでは売上の構成要素を確認していきましょう。画面左端ナビゲーションの「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」を選択してください。売上構成要素のセッション、CVR(eコマースのコンバージョン率)を流入元ごとに確認できます。前述した流入元もこのレポートで併せて見ることができます。

チャネルの画面キャプチャ

チャネルの画面キャプチャ

このチャネルレポートでは、流入元(チャネル)ごとにセッションや直帰率、売上などを見られます。単に売上を伸ばすと言っても、セッション、CVR、単価のどれを改善すべきかなのかを判断するのは難しいことです。そこで、チャネルレポートを活用して流入元別に各KPIを把握することで、どの流入元のどのKPIを改善すると効率よく売上を伸ばすことができそうかの判断材料となります。

例えば、「ECサイトの自然検索のセッション数が伸びていて、他の流入元と比較してCVRが高い。さらに自然検索のセッション数を伸ばす施策を優先するとよさそうだ。SEO対策をSEOコンサル会社に相談してみよう」といった判断をすることができるのです。

次に売上構成要素の単価ですが、チャネルレポートからは確認できません。単価を確認するには画面左端ナビゲーションの「コンバージョン」→「eコマース」→「概要」を選択してください。すると注文件数(トランザクション数)や金額(収益)、CVRや平均注文単価など、ECサイトの売上に関する情報を見ることができます。

eコマース概要画面のキャプチャ

eコマース概要画面のキャプチャ

画面の切り替えが面倒な方はカスタムレポート機能を使うことで、チャネルレポートに平均注文単価を追加することもできるので試してみてください。

ビジュアルでユーザーの動きを可視化するヒートマップ

ページごとのスクロール率は、Google アナリティクスでも設定を追加することで無料で見ることができますので興味のある方は試してみてください。

ただ、Google アナリティクスではデータがビジュアル化されないため、より個々のページのどのコンテンツまで見られたのかを視覚的に知りたいという方はヒートマップツールを導入することをおすすめします。ヒートマップツールではスクロール率だけでなく、ページのどの位置をクリックしているかまで見られるため、Google アナリティクスだけでは把握しづらい、ユーザーがサイト内でどのような動きをしているかも分かり易く可視化してくれます。

ヒートマップツールのキャプチャ例

ヒートマップツールのキャプチャ例

ヒートマップツール クリック画面のキャプチャ例

ヒートマップツール クリック画面のキャプチャ例

代表的なヒートマップツールはPtengineUser Insight が挙げられます。無料で使えるUser Heatなどもあるので、まずは無料版のヒートマップツールを導入し、物足りなくなったら有料版を利用するといったようにスモールスタートで始めてみるとよいでしょう。

レポートの解釈のし方

ここまでECサイトを運営する中でチェックすべき代表的な指標と、それらの指標をどのように見るかを説明してきました。しかし指標のチェックだけでは課題が見えても、行うべき施策を導き出すまでには至りません。

課題を改善につなげていくためにはECサイト全体で、ユーザーがどのような動きをしているかも見ていく必要があります。どのようにユーザーの動きを把握し、そこから改善につなげていくのか、さらに具体的な見方を解説していきます。

全体フローを把握する

一般的なECサイトでは「トップページ」→「商品一覧」→「商品詳細」→「カート」→「注文フロー」のステップを経て購入に至ります。このステップの中のどこで離脱が発生しているのかを測り、その問題点にてこ入れをすることでCVRを上げていきます。

仮にECサイトのトップページに10,000人が訪問されたとして、その後100人の方が購入まで至ったとすると、サイトのCVRは1%です。この情報だけではCVRを上げるにも、何をどうすれば良いか検討がつきません。

ですが、トップページから次のページに移動した人が、10,000人の内5%にあたる500人しかいないことが分かればどうでしょうか。その500人の内20%にあたる100人が購入に至っているわけですから、トップページから次のページに移動する人をもっと増やすことができれば、CVRや売上が上がることになります。

現状 改善後
トップページ 訪問者数 10,000人 10,000人
次ページ 遷移者数 500人
(トップページ訪問者数の5%)
800人
(トップページ訪問者数の8%)
購入者数 100人
(次ページ訪問者数の20%)
160人
(次ページ訪問者数の20%)

ページ遷移率の改善によるCVR・売上の向上例


すると、トップページからどうやって次のページへ遷移させやすくするか、といった課題が見えてくる訳です。

このように、サイト内全体のフロー、特にサイト内導線のどこに問題があるかを把握することで、改善すべき課題を掘り起こしていくことができます。ECサイトを運営されているなら、一度自社ECサイトの導線を確認し、どこに問題があるのかユーザーの動きを見てみてください。今まで気づかなかった課題が見つかるかもしれません。


ECサイト全体フロー図

ECサイト全体フロー図

流入経路を把握する

流入経路は前述した流入元を細分化したもので、自然検索(Organic Search)、リスティング広告(Paid Search)、参照サイト(Referral)、ディスプレイ広告(Display)などどこからサイトへ流入してきたかを指します。流入経路を把握することで、サイトがどんな入口を持っているかを知ることができます。

一般的に自然検索や参照サイトは、広告経由の訪問者が少ないため、CVRが高い傾向にあります。もし訪問数が少ないなどの課題があれば、SEO対策を行い自然検索数を伸ばしたり、参照サイトの被リンクを増やすなどの対応策が検討できます。また、参照サイトからの直帰率が高いなどが分かれば、流入元の見せ方と流入先にギャップがある可能性なども考えられます。

リスティング広告やディスプレイ広告は新規訪問者の流入が多くなりやすいため、CVRが低い傾向があります。こちらも直帰率が高ければ、広告の表示内容と流入先のギャップ、バナーイメージなどの見直しが必要かもしれません。また、CPA(コンバージョン単価)が設定した目標価格よりも高い場合は要注意です。今設定しているターゲティングは自社のECサイトのターゲット顧客にアプローチできているのか、商材と関係のないキーワードで流入していないかなど、メンテナンスの必要があるかもしれません。

その他、直接流入(Direct)やSNS(Social)からの流入結果も見ることができます。

流入経路別の動向を把握することで、どの流入経路を強化できるかを知り、より効果的に施策を行っていきましょう。

ランディングページ別に、セッションとCVRの関係を確認する

ランディングページはユーザーがサイト内に入ってきた最初のページです。ランディングしているページは必ずしもトップページとは限らず、特集ページや商品詳細ページが検索エンジンの上位に表示されていて集客に貢献する場合もあります。

まずは、Google アナリティクスでランディングページの一覧を表示し、セッション数が多いか少ないか、CVRが高いか低いかで、4つのグループに分けます。最初は、平均値を基準にグルーピングしてみましょう。

セッション数が平均より多い セッション数が平均より少ない
CVRが平均より高い グループ1
/index.html...
/special/0913tga...
/goods/0913tga...
グループ2
/login/yshbgac...
/goods/pnafdnb...
CVRが平均より低い グループ3
/special/0020ig...
グループ4
/goods/gagacxb...
/goods/edgaoxc...

セッション数とCVRでグルーピングした4象限の例


グルーピングが完了したら、以下の通り、対策の優先順位を決めていきます。

1)セッション数「多い」・CVR「高い」のページ群

すでに流入が多くCVRも高いページなので、新規媒体に対する広告出稿などを行い、その効果を検証していく。

2)セッション数「少ない」・CVR「高い」のページ群

セッションが増えれば売上が上がると想定されるため、SEOの強化や広告出稿などにより露出を増やす施策を実施する。

3)セッション数「多い」・CVR「低い」のページ群

ページ内の改善を検討する。直帰率が高い場合は、流入元とランディングページのイメージの乖離がないか、次ページに遷移しやすいCTAボタンがあるかなど、ヒートマップなどを活用しながら改善を実施していく。

4)セッション数「少ない」・CVR「低い」のページ群

まずは3の施策を実施し、CVR改善後に2の施策を実施する。

CVRに差があまりない場合や、ページによりCVRが極端に高い(もしくは低い)などの外れ値があり平均値での評価が難しい場合は、CVRの代わりに直帰率を指標にする、または外れ値を除外した平均値を出すなどでも構いません。 まずはランディングページをグルーピングし、それぞれの結果を確認するところから始めましょう。

おわりに

この記事では、ECサイトにおいてKPIとなる指標と、課題を見つけ出すためにどういった観点でデータを見ればいいかなど、ECサイトのデータ分析の基本を説明してきました。ECサイトの売上を伸ばすには、売上に影響する様々なKPIと目標値を設けて、一つずつ課題を解決していかなければなりません。一つ一つは小さくても、改善した事例の数が多くなれば、最終的に大きな成果に繋がるでしょう。

日々の運用業務を行う中でそれらを実践していくのは非常に労力がかかります。弊社ではECサイトの新規構築やリプレイスだけでなく、すでにお持ちのECサイトの運用を支援するHIT-MALLの運用代行サービス も行っていますので、日々の運用で手いっぱいで改善までたどり着けないという方はご相談ください。