ECサイトのシステム移行で見落としがちなチェック項目と注意点

ECサイトのデータ移行における注意点を解説!リプレイスを成功させる事前準備とは?

ECサイトをリプレイスする際のデータ移行の手順や注意点については、「ECサイトのデータ移行における注意点を解説!リプレイスを成功させる事前準備とは?」で解説しましたが、その他にもリプレイス時に考慮すべき項目は多岐にわたります。ECサイトのデザインやフロントエンドの機能はもちろんのこと、外部システムとの連携、サーバの見直し、ドメインの引き継ぎ、個人情報の扱いなど、さまざまなことを考慮しなくてはいけません。

ECシステムの移行を控えているEC事業者の中には、「ネットショップの移行は初めてなので、要件定義や移行作業のタスクに漏れがないか不安」「ネットショップのシステム移行でよくある失敗は、どんなものがあるの?」といった疑問や不安を感じている担当者もいるのではないでしょうか。

そこで今回も、EC構築パッケージ「HIT-MALL」のシステム担当者が、ECサイト構築システムを移行する際の注意点や、要件定義で見落としがちなチェック項目を解説します。

ECサイトのシステム移行で確認すべき3つの項目

ECサイトをリプレイスする際は、外部システムとの連携やサーバの見直しなど、ECシステム移行に関連する開発要件を見落とさないよう注意が必要です。

要件定義に向けて確認する主な項目は「ECサイト構築システムと連携する外部システムやツール」「サーバ性能の見直しの必要性」「リプレイス後のサーバの保守管理体制」があります。

開発に着手してから要件の変更が発生した、あるいはECサイトを構築してから「サーバを増強しなかったために、ECサイトのトラフィックの処理に時間がかかる」「広告運用ツールとECサイトの連携に不備があり、広告が表示されない」といった失敗事例もあります。

ECシステム移行における3つのチェック項目

  1. 連携する外部システムやツール
  2. サーバスペック見直しの必要性
  3. リプレイス後のサーバ保守管理体制

連携する外部システムやツール

EC構築パッケージやフルスクラッチで自社ECサイトを構築する場合、基幹システムや物流管理システム(WMS)、決済システム、マーケティング・オートメーション(MA)ツール、分析ツール、レコメンドエンジンなど、複数のシステムやツールと連携していることが一般的です。

連携するシステムやツールが増えるほど、開発段階の工数が増えて開発コストも高くなります。そのため、リプレイス後のECサイトに連携する外部システムやツールについて必要性を精査し、優先順位をつけて要件定義に盛り込むことが大切です。

また、外部システムやツールによっては、開発段階でIP許可やアカウント設定が必要になることもあるため、ツールベンダーなどにあらかじめ確認しておきましょう。

外部システム・ツールと連携する際の確認事項

1.IP許可やアカウント設定

MAツールや決済システムなどをECサイトと連携する場合、システムベンダーが開発を行う段階で、開発のためのIP許可や動作確認環境におけるアカウント設定が必要になることがあります。特に個人情報を取り扱うツールはIP制限を設定していることが多いでしょう。その場合、EC担当者が自身で設定を変更する、またはサーバ管理者、ツール提供会社や決済代行会社などに設定変更を依頼する必要があります。

2.サーバに専用モジュールをインストール

決済代行会社が提供している決済システムなどセキュリティ規準が厳しいシステムとECサイトを連携する場合、専用モジュール(証明書)をインストールしたサーバからしか開発環境にアクセスできない場合もあります。そういったケースでは、決済代行会社などから専用モジュールを入手し、開発用サーバにインストールする工程が発生します。

3.データフィードで送信する商品の切り替え

ECサイトの商品データと広告運用ツール(Googleショッピング広告など)を連携している場合は、フィード広告に表示する商品情報を旧ECサイトから新ECサイトに切り替える(連携し直す)必要があります。商品情報や在庫情報など連携に必要なデータの調整と切り替えタイミングを決定する必要があります。

4.データの上書き防止

旧ECサイトから連携していたデータを、新しいECサイトのデータで上書きしないよう注意が必要です。例えば、ECサイトの受注データを基幹システムに連携している場合、新旧のECサイトの受注IDが重複していると、新しいECサイトの受注データによって旧ECサイトの受注データが上書きされてしまうことがあります。

5.決済代行会社の選定

ECサイト構築システムが連携できる決済代行会社があらかじめ限定されていることもあります。その場合は、ECサイト構築システムを移行する際、既存のECサイトで契約していた決済代行会社を新しいECサイトに引き継ぐことができません。特定の決済代行会社と契約したい場合は、ECサイト構築システムを契約する前に確認しましょう。

サーバスペック見直しの必要性

ECサイト構築システムを移行するタイミングで、サーバを移行することもあります。

特に、既存のECサイトのアクセス数や受注が増え、トラフィックの処理に時間がかかっている場合は、サーバの増強(スケールアップ)や、負荷に応じて自動的にサーバの台数を増減させるオートスケールに対応したクラウドサーバへの切り替えを検討することもあるでしょう。

サーバ環境をインターネット経由で利用するクラウドサーバは、サービスごとにスペックや処理速度が異なります。また、サービス特有の制限がかかることもあるため、新しいECサイトの要件を満たすことができるか、事前に利用条件などを確認してください。

オートスケール対応のパブリッククラウドを利用する場合には、従量課金の費用を見積もるために将来のトラフィックを予測し、サーバの予算を計上することも必要です。

メールサーバの注意点

ECサイトで使用しているメールサーバを変える場合にも注意が必要です。

通常外部システムなどから送信アドレスのドメインが変わる場合、「注文完了メール」や「発送完了メール」などが迷惑メールと認識されないよう、SPFレコード(正しい送信元からメールが送られていることを証明する認証の仕組み)を登録します。

また、使用するメールサーバによっては日本語のエンコードに不具合が生じ、メールが文字化けすることもあるためサーバの設定に注意してください。

リプレイス後のサーバ保守管理体制

サーバの保守や管理をECサイト構築システムのベンダーに任せているEC事業者は、システムを移行するとサーバ保守や監視に関する契約内容も見直すことになります。

サーバの保守や監視の内容は、システムベンダーとの契約によって異なります。リプレイス前のシステムベンダーがおこなっていた保守業務を、リプレイス後のシステムベンダーにも同じ内容・サービスレベルで任せることができるかはよく確認すべきポイントです。

個人情報やパスワードを新サイトに移行する際の注意点

ここからは、ECサイトをリプレイスする際にシステム関連で発生する業務について、手順や注意点を解説します。顧客の個人情報のデータ移行の手順については「ECサイトのデータ移行における注意点を解説!リプレイスを成功させる事前準備とは?」で解説していますので、この記事では個人情報保護の観点からの取り扱いの注意点やドメイン管理、SSL証明書の移行を取り上げます。

個人情報の取り扱いに関する規約の変更内容を事前に周知

ECサイトをリプレイスするときは、会員の個人情報やパスワードなど機密情報の取り扱いに注意が必要です。

注文処理などの個人情報を取り扱う業務をアウトソースする場合、会員情報を運用代行会社に提供すること(会員情報の利用目的)をECサイトの利用規約などに記載しておくのが一般的です。ECサイト構築システムの移行に併せて運用代行会社を変更する場合は、運営代行業務の委託先の企業名の変更も忘れずに行いましょう。

会員の同意を取る実務上の方法は、移行前のECサイトの注文画面や会員ページなどに変更後の個人情報の取り扱いに関する説明を表示し、同意した会員のみ新しいECサイトに個人情報を移行します。

個人情報の取り扱いについて、詳しくは個人情報保護委員会より「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部サイト)」も出ていますので、ご参照ください。

ログインパスワードを再設定する方法

ECサイト構築システムを移行する場合、旧ECサイトで使用していた会員パスワードは新しいECサイトに移行できないというのが一般的です。

パスワードの文字列は暗号化されているため、データベースに保存されているパスワードの文字列そのものをEC事業者やシステムベンダーが閲覧、新ECサイトにそのまま移行することができません。

そのため、新しいシステムのECサイトをリリースした後に、ログインパスワードを会員に再設定してもらう必要があります。パスワードの再設定を会員に依頼する手順は、主に次の2種類があります。

1.初回ログイン時に再設定する

新しいECサイトに会員が初めてログインする際、会員自身にパスワードを再設定してもらう。会員の本人確認はメールアドレスなどでおこなう。

2.仮パスワードを発行する

既存会員に対して仮パスワードを発行し、初回ログイン時は仮パスワードを使用してもらう。仮パスワードを長期間使用するとセキュリティリスクがあるため、初回ログイン後に新しいパスワードを再設定するよう促す。

SEO効果を引き継ぐドメイン管理とSSL証明書の注意点

ECサイトのリプレイスともないサーバを移行した場合、新しいサーバにドメインやSSLサーバ証明書も移行する必要があります。

リプレイス前のECサイトで使っていたドメインを、新しいECサイトでも継続して使用することで、ドメインのSEOの評価を引き継ぐことができます。アクセス数の減少を防ぐために、ECサイト構築システムを移行してもドメインは変更しない方が良いでしょう。

また、ECサイトの集客用コンテンツページをCMSで運用している場合、SEOの評価が高いコンテンツページはそのまま新しいECサイトにも転用すると集客効果が見込めます。

ドメインを引き継がない場合の対策

ECシステムを移行するタイミングでドメインを変える場合は、リプレイス前のECサイトの各ページから、新しいECサイトの対応ページにリダイレクトをかけることも欠かせません。全ての商品に対してリダイレクトを設定するのは数が多く、確認作業に時間もかかりますので、旧サイトの中でアクセス数が多い特集ページと商品を優先するなどの工夫もしましょう。

GAの基本設定やクロスドメイントラッキング

Google アナリティクスでECサイトのアクセス状況を収集している場合は、目標設定(CV:コンバージョン)などをリニューアル後のドメインやURLに変更することも忘れないでください。

また、特集ページとカートページのドメインが異なるなど、複数のドメインをまたいでECサイトが構成されている場合は「クロスドメイントラッキング」の設定が必要です。そういった設定の引継ぎや、新たなECシステムのサイト構成にあわせた設定変更なども漏れなくおこないましょう。

サイトマップの修正と送信

ECサイトのリプレイスでURLが変わった場合は、サイトマップを修正してサーチコンソールから送信する必要があります。サイトマップをサーチコンソールに登録すると、Googleのクローラーがサイトの構造やサイト内リンクを認識しやすくなり、インデックスされやすくなるためSEOに有効です。

SSLサーバ証明書の移行も忘れずに

移行後のサーバにSSLサーバ証明書をインストールする必要があります。その際は証明書の有効期限などに注意してください。

ECサイトのシステム移行のチェックリスト

ECサイトのリプレイスはシステムベンダーと一緒に進めますが、EC事業者自身がおこなうべき業務もあります。

ECサイトのリプレイスを準備している担当者は、この記事で解説したチェックリストを参考にタスクや確認項目をリストアップしましょう。

ECサイトのシステム移行のチェックリスト

□ECサイト構築システムと連携する外部システムやツールの種類

  • IP許可やアカウント設定
  • サーバ専用モジュールのインストール
  • データフィードで送信する商品の切り替え
  • データの上書き防止
  • 決済代行会社の選定

□サーバ性能の見直しの必要性(スケールアップ/クラウドサーバ移行)

  • メールサーバ(SPFレコード/文字化け)

□リプレイス後のサーバの保守管理体制

□個人情報の取り扱いに関する規約の変更内容を事前に周知

□ログインパスワードの再設定

□SEO評価を引き継ぐドメインの移行

□ドメインを変更する場合の対策

  • リダイレクト設定
  • GAの設定変更(目標設定、クロスドメイントラッキングなど)
  • サイトマップの修正と送信

□SSLサーバ証明書の移行

ここまで外部システム、サーバ、ドメインの引き継ぎ、個人情報の扱いなど、ECサイトのリプレイス時のチェックポイントをシステム中心に解説してきました。

ECサイト構築システムを移行する全体の流れやベンダー選びの注意点は「ECサイトの移行におけるシステムベンダー選びのチェックポイント」 で、また、リプレイスにおけるデータ移行の手順や注意点については「ECサイトのデータ移行における注意点を解説!リプレイスを成功させる事前準備とは?」で解説していますので、それらも参考にスムーズなECサイトのリプレイスに役立ててください。

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