ECサイトの新規立ち上げに適したECシステムとは?5つのサイト構築方法と選び方を解説

contents03_img01.jpg

「EC事業への参入を検討しているので、ECサイトを構築する方法を知りたい」
「新しくECサイトを立ち上げたいが、どのECサイト構築システムを使えば良いか分からない」

ECに新規参入、あるいは、ECサイトを新たに立ち上げるうえで、こうした悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。実店舗を中心にビジネスを手掛けている事業者を含め、ECを重視する企業がますます増える中、ECサイトを構築する方法やシステムの選び方について詳しく知りたいというニーズが高まっているようです。

そこで今回は、ECサイトを構築する5つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをまとめるとともに、ECサイトを新たに立ち上げるときのECシステムの選び方を解説します。

ECサイトを構築する5つの方法

ECサイトを構築する方法には、既存のECサイト構築システムを使う方法と、EC事業者のビジネスに合わせてシステムをゼロから作る「フルスクラッチ」があります。

既存のECサイト構築システムは「ASP」「クラウド」「オープンソース」「パッケージ」という4つに分類されます。

これら5つの方法には、それぞれメリットとデメリットがあり、一概に優劣をつけられるものではありません。EC事業の目的やビジネスモデル、実現したい機能などを踏まえ、最適な手法を選択することが重要です。

もし、ビジネスモデルや事業計画に合わないシステムを選んでしまうと、EC事業の成長が遅れる原因になります。それぞれの特徴をしっかり理解することがシステム選びの第一歩です。

ECサイトを構築する5つの方法

売上目標や開発予算、カスタマイズの必要性などを踏まえて構築方法を選ぶ

ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)

共通のECプラットフォームを複数のEC事業者がインターネット経由で利用する方法

主な製品
「CARTSTAR」「カラーミーショップ」「shopify」「ショップサーブ」「MakeShop」「futureshop」(50音順)など

クラウド

パッケージ化されたソフトフェアをクラウド(インターネット経由)で提供する方法

主な製品
ebisumart、HIT-MALLクラウド、メルカート など

オープンソース

ソースコードが公開された無料のECサイト構築プラットフォームを使う方法

主な製品
EC CUBE、ZenCart など

パッケージ

ECに必要な標準機能を備えたソフトウェア(パッケージシステム)を使い、EC事業者ごとにカスタマイズしてECサイトを構築する方法

主な製品
EC-ORANGE、ecbeing、SI Web Shopping、Commerce21、HIT-MALL(50音順)など

フルスクラッチ

既存のシステムを使わず、EC事業者のビジネスに合わせてシステムをゼロから作る方法

使える予算や売上規模、カスタマイズの必要性でシステムを選ぶ

「ASP」「クラウド」「オープンソース」「パッケージ」「フルスクラッチ」は、それぞれ初期投資や運用コスト、初期開発の有無、処理できるトラフィック、カスタマイズの自由度などが異なります。

システムを選ぶ際は、開発予算や将来的な売上目標、取扱商品、実現したい機能などを整理した上で、ビジネスモデルや事業計画、社内の開発体制などを踏まえて比較検討していきます。

ECサイト構築システムを選ぶ際の判断基準

  • システム投資に使える予算
  • 将来的に目指したい売上規模
  • 実現したい機能
  • 取扱商品
  • ビジネスモデル(リピート通販、総合通販、ギフト通販、店舗連携など)
  • 社内の開発体制

ASP/クラウド/オープンソース/パッケージ/フルスクラッチのメリット・デメリット

それでは、「ASP」「クラウド」「オープンソース」「パッケージ」「フルスクラッチ」のメリットとデメリットを踏まえ、どのような事業者に向いているかを解説します。

「ASP」:初期投資を抑え、すぐにEC を始めたい企業向き

共通のECプラットフォームを複数のEC事業者がインターネット経由で利用する「ASP」は、導入費用が安く、ECサイトを立ち上げるまでの期間が短いのが特徴。その手軽さから、個人事業主や中小企業を中心に多くのEC事業者が利用しています。

「ASP」は製品ごとに価格や機能、スペックがさまざま。リピート通販専門カートや商材特化型のカートが登場するなど、機能や性能面での細分化も進んでいます。

■メリット 初期費用が安い

導入費用は数万円〜数十万円が一般的で、初期費用が無料のショッピングカートもあります。また、デザインのテンプレートや決済システムがあらかじめ用意されているため、短い期間で導入できます。

「ASP」は共通のECプラットフォームをインターネット経由で利用するため、システム提供元がプラットフォームをアップデートすれば、ユーザーは常に最新の機能を利用することができます。

■デメリット 機能やデザインに制限がある

原則としてカスタマイズを行えないため、実装されている機能しか使うことができません。ECサイトのデザインにも制限があります。
また、セキュリティ対策やSEOの強さ、ページの表示速度など、システムに依存する部分については、利用企業側で対処することは難しいです。

「クラウド」:初期投資を抑えつつ事業を大きく成長させたい企業向き

「クラウド」のECサイト構築システムは、ECの標準機能を備えたプラットフォームをインターネット経由(クラウド)で利用します。「ASP」と似ていますが、「クラウド」は機能の拡張性が高いことや、同一シリーズの「パッケージ」へ移行できる製品もある点などが「ASP」と異なります。

■メリット 成長段階に合わせてパッケージに移行できる

初期費用が「パッケージ」よりも安く、機能の拡張性は「ASP」よりも優れているのが特長です。標準機能の一部をカスタマイズできたり、最新バージョンに自動アップデートされる製品もあります。

「パッケージ」のECサイト構築システムの標準機能を「クラウド」として提供する製品もあります。そういった製品は、「クラウド」から「パッケージ」へ簡単に切り替えられ、データ移行などもスムーズに行えます。そのため、EC参入当初は初期投資が少ない「クラウド」を使い、売り上げが拡大してECサイトのカスタマイズを行いたくなったら「パッケージ」に移行するなど、成長段階に合わせてシステムを使い分けることができます。

■デメリット カスタマイズに制限あり。機能拡張でコストが嵩むことも

パッケージやフルスクラッチのように、システムを自由にカスタマイズすることはできません。機能拡張を行うとコストが嵩んでしまい、想定外の費用が掛かってしまうこともあります。

「オープンソース」:自由度は高いが技術力が必要。システム開発に自信がある企業向き

「オープンソース」とは、プログラムが公開されているソフトウェアのこと。カスタマイズの自由度が高く、システム利用料がかからないといったメリットがある一方で、サイト構築やセキュリティ対策を自分たちで行う必要があるため、高い技術力が求められます。

■メリット 開発の自由度が高く、利用料が無料

プログラムが無料で公開されているため、システムそのものは無料で利用できます。カスタマイズも自由にできるほか、サードベンダーが開発したプラグインを利用することで、さまざまな機能を実装できます。

■デメリット 開発やセキュリティ対策に技術力が必要

サイト構築を自社で行うため、高い技術力が求められます。もし社内に技術者がいない場合、システム会社に開発を委託する必要があるため、サイト構築やメンテナンスの費用が発生してしまいます。

また、プログラムが公開されているため、セキュリティホールを突いた不正アクセスの標的になりやすいです。セキュリティホールがある古いバージョンのオープンソースシステムを使い続けていると、不正アクセスによって顧客情報が漏えいするリスクを抱えることとなります。これを防ぐには自社管理で、システムを常に最新のバージョンにアップデートする必要があります。

「パッケージ」:年商1億円以上で、機能やカスタマイズにこだわりたい企業向き

「パッケージ」はECに必要な標準機能を備えたシステム基盤を使い、企業ごとにカスタマイズしてECサイトを構築することができます。カスタマイズを前提としているため、ECサイトの機能やデザインにこだわりたい企業に向いています。

初期投資は高いため、EC事業で年商1億円以上が目安になります。ECの売り上げがある程度まで拡大してからパッケージに乗り換えるケースも多いですが、EC事業を本気で大きく成長させたい企業は、EC事業を立ち上げる当初からパッケージを使う傾向にあります。

■メリット カスタマイズの自由度が高い

「パッケージ」のメリットはカスタマイズの自由度が高いこと。決済や商品登録、CRM、販売促進といった標準機能をベースに、個別の機能を追加することで独自の売り方やサービスを実現できます。

企業の基幹システムや倉庫管理システム(WMS)、実店舗のPOSなどと連携できることも「パッケージ」の強みです。受注処理や出荷処理を自動化したり、実店舗とECを連携したオムニチャネルに取り組むといったことも、カスタマイズを行うことで実現できます。

■デメリット 初期投資が数百万円以上

カスタマイズを前提としているため、導入時の開発コストが数百万円から数千万円規模でかかります。EC事業の年商が1億円未満では費用対効果が合わないことが多いです。

「フルスクラッチ」:年商100億円以上を目指す大手EC事業者向き

既存のソフトウェアを使わず、ECシステムをゼロから作る「フルスクラッチ」は、ECサイトの機能やサービスにこだわりたい企業や、独特な売り方をしたい企業に向いています。莫大な投資が必要なため、EC事業で年商100億円以上を目指すような大規模EC事業者に向いています。

■メリット 機能開発の自由度がもっとも高い

ECサイトをゼロから構築するため、EC事業者のビジネスに合わせた機能や理想のデザイン、独自の業務フローに合わせたフロント画面及び管理画面を自由に構築することができます。基幹システムや実店舗との連携も可能です。

また、ASPやパッケージを使っている場合、システムベンダーがソフトウェアの提供やサポートを終了するとECシステムを継続利用できなくなることもありますが、フルスクラッチならそうした心配はありません。

■デメリット 初期投資やシステム改修費用が高い

初期費用が最低でも数千万円かかります。ゼロからサイトを構築するため立ち上げまで時間がかかることも、デメリットとして挙げられます。また、ECサイトを立ち上げた後も、機能の拡充やシステム改修を行うたびに追加投資が必要になってきます。

サイト構築の方法 メリット デメリット
ASP
  • 導入費用が安い
  • ECサイトを立ち上げるまでの期間が短い
  • カスタマイズできない
  • 機能やデザインに制限がある
クラウド
  • 初期費用はパッケージよりも安い
  • 機能の拡張性はASPより優れている
  • クラウドからパッケージへ簡単に乗り換えられる製品もある
  • パッケージやフルスクラッチのようにはカスタマイズできない
オープンソース
  • システムそのものは無料で利用できる
  • カスタマイズやプラグインで機能拡充が可能
  • サイト構築の技術力が求められる
  • 社内に技術者がいないと外注費がかかる
  • 不正アクセスのターゲットになりやすい
パッケージ
  • カスタマイズの自由度が高い
  • 独自の売り方やサービスを実現できる
  • 基幹システムなどと連携可能
  • 導入コストが数百万円から数千万円かかる
フルスクラッチ
  • 機能開発を自由に行える
  • サービス終了などのリスクが少ない
  • 初期費用が最低でも数千万円かかる
  • 立ち上げまでに時間がかかる

ECシステムは「売上目標」や「将来、ECで実現したいこと」から逆算して選ぶ

ECシステムを選ぶ際は、まずは「EC事業で実現したこいこと」を整理することが重要です。

ターゲットは誰なのか、運用フローはどうするのか、会社全体の中でEC事業をどう位置付けるか、ECサイトでどういった情報(コンテンツ)を発信して顧客とコミュニケーションを図っていくのか。こうした「ECサイトのコンセプト」をしっかり固めておくことが必要です。

ECサイト構築システムは、EC事業を成功させる手段に過ぎません。

「目標とする売上規模」や「実現したい売り方」を整理し、EC事業の業務フロー(運用フロー)もイメージしながら、予算の中でそれを実現できるシステムを選ぶことがポイントです。

ECビジネスを一緒に考えてくれるベンダーを選ぶ

ECサイトを新たに立ち上げるとき、ECサイト構築システムの比較検討は情報システム部門が担当することも多いのではないでしょうか。インターネットでECサイト構築システムを検索し、評判が良さそうな製品をいくつかピックアップしたうえで、見積もりを取って商談するのが一般的だと思います。

その際、比較検討の基準の1つに「ECビジネスを一緒に考えてくれるベンダーを選ぶ」という要素を加えてみてください。

ECサイトを新たに立ち上げるときは、疑問や不安がたくさんあると思います。どのような方法でECサイトを構築するにせよ、ECビジネスの規模拡大や様々な運用業務について相談できるベンダーを選ぶことは、システム選びにおける重要なポイントです。

機能や価格だけで選ぶと失敗のもと

逆に、絶対にやってはいけないことは、製品カタログに記載された機能や価格だけで判断すること。実際の運用を想定してからシステムを選ばないと、ECサイトを立ち上げてから実はやりたいことが出来ないという失敗に陥りやすくなります。

ECサイト構築システムは一度導入すると長く使うものですから、システムベンダーはEC事業のビジネスパートナーと言っても過言ではありません。相談に親身に対応してくれて、疑問や不安をしっかり解消してくれるシステムベンダーを選んでください。

このエントリーをはてなブックマークに追加