ECサイトに効果的な広告とは?優先順位のつけ方とWeb広告6種類の特徴を解説

ECサイトに効果的な広告とは?優先順位のつけ方とWeb広告6種類の特徴を解説

ECサイトの運用で課題に挙がることが多い「集客」。自社ECサイトを立ち上げたものの、アクセス数が伸び悩んでいるという企業も多いのではないでしょうか。

実際に、アイテック阪急阪神が実施したアンケート調査でも、自社ECの運用で早急に解決したい課題として「新規獲得や集客方法」は3位でした。多くの方が集客に課題を感じているようです。

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自社ECサイトの集客には広告がよく使われます。しかし、テレビや雑誌、新聞、ラジオなどのマス広告は費用が高額なため、ハードルが高いでしょう。限りある広告予算の中で、高い費用対効果を求めるなら、ニーズが顕在化した消費者にピンポイントでリーチできる「Web広告(インターネット広告)」が有力な選択肢になります。

そこで今回は、自社ECサイトへの集客を強化したい方に向けて、6つのWeb広告について解説します。それぞれの特徴やメリット、活用方法などに加え、広告の選び方や運用のポイントもお伝えしますので、Web広告の見直しや検討をされている方はぜひ参考にしてください。

  1. 1.Googleショッピング広告
  2. 2.リスティング広告
  3. 3.ディスプレイ広告
  4. 4.アフィリエイト広告
  5. 5.記事広告
  6. 6.SNS広告

自社ECサイトへの集客でWeb広告の優先順位を決める方法は?

まずはWeb広告の選び方について解説します。Web広告は少額から始められるとは言え、「あれも、これも」と広告を出稿していては広告費が嵩んでしまいます。まずは各Web広告の特徴を理解し、優先順位をつけることが大切です。

広告出稿する前に、次の6項目を整理してください。広告の対象商品や目的、ターゲット層などを明確にすることが広告選びの第一歩です。

広告出稿前に整理すべき6項目

1.広告の対象商品:
広告を実施する商品を決める

2.広告の目的:
「認知拡大」「購入意欲の促進」「受注件数の増加」など目的を決める

3.ターゲット層:
ターゲット層の年齢・性別・ライフスタイル・嗜好・抱えている課題などを明確にする

4.広告予算:
広告予算(月々の金額/予算総額)を決める

5.KPI・達成期限:
広告の数値目標と達成期限を設定する

6.費用対効果の目標:
CPA(獲得コスト)やROAS(広告費に対する広告経由売上高の割合)などの目標を決める

「顕在層」「準顕在層」「潜在層」でターゲットを絞り込む

広告のターゲットを決める際は、広告の目的に合わせて「顕在層」「準顕在層」「潜在層」のどこにリーチすべきかを検討します。

顕在層:高い購入意欲とはっきりした悩みや目的を抱えており、すでに商品比較や検討を進めているユーザーグループです。

準顕在層:購入意欲は高まっていますが、即時の購入に至っていないユーザーグループです。商品の利点をさまざまな切り口で伝え、購入検討に引き上げることがポイントです。

潜在層:商品のターゲットであり、ニーズは存在しますが、現時点では購入意欲が高くなく、積極的に情報を探していないユーザーグループです。商品の存在をお知らせし、興味を引き起こすことが最優先です。

ECサイトにおけるターゲットとペルソナ

購入意欲のフェーズに応じて「顕在層」「準顕在層」「潜在層」に分類する

「顕在層」「準顕在層」「潜在層」のどの層を狙うかによって、Web広告の優先順位が変わります。広告の目的が「受注件数の増加」なら、ニーズが明確で購入につながりやすい顕在層にリーチできる広告を選択すべきです。目的が「認知拡大」ならば、すぐに購入する確率は低くても、将来を見据えて潜在層にリーチできる広告を選択するのも良いでしょう。

Web広告でリーチできる層は明確に決まっているわけではありませんが、目安としては次のように分類することができます。

顕在層:
リスティング広告、Googleショッピング広告、リターゲティング広告

準顕在層:
記事広告、アフィリエイト広告、ターゲティング広告(ディスプレイ広告、SNS広告)

潜在層:
ディスプレイ広告、SNS広告

それぞれの広告の特徴については次章で詳しく解説しますが、例えば「Googleショッピング広告」や「リスティング広告」は、検索エンジンで入力したキーワードに関連する広告が検索結果画面に表示されます。商品について調べた消費者(=顕在層)にピンポイントで広告が表示されるため、購入につながりやすいのが特徴です。

「記事広告」や「アフィリエイト広告」は、文章や画像などで商品について詳しく解説する広告なので、商品への理解を深めてもらえるといった点で準顕在層に有効です。

「SNS広告」は各ユーザーが登録した年齢や性別、居住地などでターゲティングでき、「ディスプレイ広告」は閲覧履歴などに応じて興味・関心に合った広告を配信することが可能です。これらの広告は、潜在層に幅広くリーチすることができます。

さらに、ターゲティング広告として紹介した「SNS広告」や「ディスプレイ広告」は、潜在層へのアプローチだけではなく、購買検討中のユーザー(=準顕在層)に対して具体的な商品情報や購入特典を強調した広告を配信することで、購買意欲促進が期待できます。各ターゲット層に最適なメッセージを打ち出すことで、広告の効果を最大限に引き出すことができるでしょう。

ターゲットの年齢や性別で広告プラットフォームを選ぶ

Web広告を実施する際は、ターゲット層の年齢や性別を踏まえ広告を使い分けることも重要です。特にSNS広告は商品とSNSプラットフォームの相性が悪いと効果が出にくいため注意してください。具体的には、10歳代向けの商品であればTikTok広告、20〜30歳代女性向けの商品であればInstagram広告(Meta広告)、40歳代以上のビジネスパーソン向けの商品ならFacebook広告(Meta広告)を選ぶといった使い分けです。

自社ECサイトで活用される6つのWeb広告媒体

ここからは、自社ECサイトの集客によく活用される6つのWeb広告について、それぞれの特徴を解説します。

【自社ECでよく使われるWeb広告】

1.Googleショッピング広告

2.リスティング広告

3.ディスプレイ広告

4.アフィリエイト広告

5.記事広告

6.SNS広告

Googleショッピング広告

「Googleショッピング広告」は、Googleの検索エンジンで検索した際に、キーワードに関連する「商品の情報」が検索結果画面に表示される広告です。商品の画像や価格が表示されるため、商品の特徴が直感的に伝わり、ユーザーの興味を惹きやすいのが特徴です。広告をクリックするとECサイトの商品ページなどに飛びます。商品を検索した顕在層にリーチし、コンバージョン(購入)につなげやすい広告です。広告は検索結果の「すべてタブ」「画像タブ」「ショッピングタブ」などに表示されます。

Google ショッピング広告 掲載イメージ

商品の画像・商品名・価格などが表示される

クリック数に応じた成果報酬型ですので、広告主はリスクを抑えて広告を出稿することが可能です。ただし、広告枠には価格や商品名など限られた情報しか表示されませんので、他社も扱っている商品は価格以外で差別化するのが難しくなります。

また、Googleショッピング広告を利用するには、データフィード(広告枠に表示する情報をリスト化したもの)を作成し、「Google Merchant Center」 にアップロードする必要があります。データフィードを作成する手間がかかるほか、商品の価格などが変わった場合にはデータフィードを更新する必要があるため注意してください。

Googleショッピング広告の詳細や運用方法については、下記のイーコマブログの記事でも解説していますのでご一読ください。

Googleショッピング広告とは?始め方と仕組みを解説

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リスティング広告

「リスティング広告」とは、GoogleやYahoo!の検索エンジンで検索した際に、通常の検索結果の上部や下部に表示される「テキスト広告」です。検索キーワードとの関連性や入札単価などによって表示される広告が選ばれます。商品について調べている顕在層にリーチできるので購入につながりやすく、自社ECサイトの集客ではGoogleショッピング広告同様ポピュラーな広告です。

Googleリスティング広告 掲載イメージ

キーワードに関連したテキスト広告が表示される

クリック数に応じた成果報酬型の広告なので費用対効果が明確です。また、1日の平均予算を設定して運用することも可能です。

具体的な活用方法としては、例えば、ブランド名や商品名で広告を出稿し、指名検索(ブランド名や商品名での検索)を行った消費者にリーチする手法があります。この方法なら、自然検索で上位表示されない自社ECサイトでも、検索エンジンから自社ECサイトに消費者を誘導することが可能です。

リスティング広告の注意点は、キーワードの選び方や入札単価次第で費用対効果が変わることです。検索ボリュームが多いキーワードは競争が激しく、入札単価が高騰するため、競合が入札していないニッチなキーワードを狙っていくことが費用対効果を上げるポイントになります。

ディスプレイ広告

「ディスプレイ広告」は、Webサイトやアプリなどの広告枠に表示される「バナー広告」や「動画広告」の総称です。Webサイトの内容と親和性の高い広告を表示したり、消費者の行動履歴にもとづいて興味・関心に合った広告を表示したりできます。画像や動画を使うため視覚的に訴求したい場合に有効です。

潜在層を含めて幅広い消費者にリーチできるため、商品の認知獲得やブランディング向上に有効です。また、準顕在層に向けて購買意欲をかき立てる広告を配信することで、購買検討を促進する効果も期待できます。

一方、購入意欲が高くはない消費者にもリーチするため、ディスプレイ広告単体のコンバージョン率(購入率)は、顕在層向けのリスティング広告などに比べて低い傾向にあります。広告の目的やKPIを明確にして運用することが大切です。

リターゲティング広告

「リターゲティング広告」はディスプレイ広告の一種で、自社ECサイトにアクセスしたことがある消費者を追跡し、他のWebサイトで広告を表示します。過去に自社ECサイトにアクセスした消費者に広告を出せば、アクセスしたことがない消費者に広告を出すよりも高いコンバージョン率が期待できます。

アクセスの多いECサイトはリターゲティング広告の配信対象の母数が多いため有効です。また、高額商品など、検討期間が長く、購入までに何度もECサイトを訪れるような商品にも効果的でしょう。自社ECサイトで商品ページを訪問したけども購入しなかった消費者に向けて同商品の広告を表示する、初回購入をした消費者に別の商品の広告を表示するなど、さまざまなアプローチが実現できます。

ただし、リターゲティング広告は自社ECサイトにアクセスしたことがない消費者にはリーチできないため、リスティング広告やSNS広告など、他の広告と組み合わせて運用することも必要です。

なお、Googleでは「リマーケティング広告」という名称ですが、広告としての性質はリターゲティング広告と同じです。

アフィリエイト広告

「アフィリエイト広告」とは、アフィリエイターと呼ばれる個人や企業が、WebサイトやSNSなどで商品を紹介し、そのサイト経由で購入などの成果があった際に報酬額が発生する広告です。広告主(ECサイト事業者)が報酬額や報酬率を設定し、購入につながった際に報酬を支払うため、あらかじめ広告の費用対効果を計算しやすいことがメリットです。また、販売主ではなく第三者の体験談として商品を紹介することで、そのメリットがリアルに伝わるといった特徴もあります。

なお、アフィリエイターはアフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)と呼ばれるプラットフォーム事業者を介して広告を出稿するのが一般的です。

注意点としては、アフィリエイターが広告を作成する際、広告主の意図とは異なるものが作られてしまう可能性があること。広告主はアフィリエイターが作った広告の内容に問題がないか、適宜チェックしておいた方が良いでしょう。なお、2023年10月からステルスマーケティングが違法になりました。広告主が広告内容をアフィリエイターに指示した場合、広告であることが消費者にわかるように表記する必要があります。

記事広告

「記事広告」とは、記事形式のコンテンツをメディアに掲載する広告です。インタビューやコラムなど、通常の記事のような体裁で商品やブランドの情報を伝えることができます。オンラインの記事広告は、掲載期間が終了するまで、じわじわとアクセス数が積み重なるストック型のコンテンツです。記事広告の掲載を検討する際は、メディアの月間ユニークユーザー数や読者属性(年齢層や性別など)を媒体社に確認し、商品と相性の良いメディアを選びましょう。

SNS広告

「SNS広告」は、FacebookやInstagram、LINE、TikTok、X、YouTubeといったSNSプラットフォーム上に表示する広告です。SNS広告は、商品のターゲット層とプラットフォームのユーザー層が重なっているほど成果が出やすくなります。プラットフォームによってはユーザー属性を公表していますので、それぞれの特徴を踏まえて媒体を選定してください。

Meta広告(Facebook・Instagram)

「Meta広告」はMeta社が運営しているFacebookやInstagram、Messenger、WhatsAppに配信する広告です。フィード(投稿したコンテンツが流れる場所)やストーリーズ(投稿後24時間で消えるコンテンツ)などのコンテンツに混じって広告が表示されます。

広告のクリエイティブは主に画像や動画です。広告の管理画面で予算や掲載期間を設定し、消費者の年齢・性別・興味・関心などにもとづいて配信対象を絞り込むことができます。

リターゲティング設定を行い、ECサイトに訪問して購入しなかった消費者に広告を配信するのも効果的です。ただし、近年はサードパーティクッキーに対する規制が強まり、クッキーで消費者の行動履歴を追跡しにくくなっています。その課題をクリアするには「コンバージョンAPI」という仕組みを使う必要があります。

コンバージョンAPIを使うと、サードパーティクッキーに依存せずにターゲティングや効果測定を行えます。ただし、設定には専門の知識が必要になるため、社内にエンジニアがいない場合には外部ベンダーに依頼すると良いでしょう。

なお、Instagram広告の特徴や運用方法について、詳しくはこちらの記事でも解説していますので参考にしてください。

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LINE広告

「LINE広告」は、コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめ、「LINE NEWS」や「LINEマンガ」といった関連サービスに配信される広告です。9,600万人[※1]のユーザー基盤にリーチすることでき、ユーザーの年齢や性別、地域などの属性や興味関心、Webサイト訪問履歴などにもとづいてターゲットを絞り込むことも可能です。

LINE広告の配信方法や運用のポイントなどについて、詳しくはこちらの記事でも解説していますのでご一読ください。

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その他のSNS広告

TikTokやX(旧Twitter)、YouTubeなどにも広告を出稿することができます。TikTokは10歳代にリーチしやすい、Xは拡散力が高い、YouTubeは比較的長尺の動画広告を配信できるなど、それぞれに特徴があります。詳しくは各社の広告ページを参考にしてください。

TikTok:TikTok for Business

X:Xビジネス

YouTube:Google広告

まとめ

この記事では、自社ECサイトで活用されているWeb広告の用途や種類、優先順位のつけ方について解説しました。

広告出稿前に整理すべき6項目を整理し、ターゲットに合わせたWeb 広告を開始することで、集客力を高めることが可能です。

Web広告を開始し、すぐに成果を出すというのは難しいかもしれませんが、結果をもとに改善活動を繰り返すことで望む結果に近づくことができるでしょう。

アイテック阪急阪神では、Web広告運用だけに限らずコンテンツ制作やアクセス解析などの伴走支援を行っています。EC人材が不足している、社内にノウハウが蓄積されていないなど運用に関するお悩みがございましたら、EC運用代行サービスの利用が一つの選択肢となるかもしれません。

アイテック阪急阪神のEC運用代行サービスについては、下記のページをご覧ください。

[※1]出典:LINE株式会社「LINE広告とは|LINE for Business

また、現在ECサイトでWeb広告に取り組んでいるものの成果が出ていない、またはWeb広告運用の見直しをお考えの方は下記記事をご参考になさってください。

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