Google アナリティクスで見る!EC関連のレポートと活用方法|EC担当者向けGoogle アナリティクス活用講座

Google アナリティクスで見る!EC関連のレポートと活用方法|EC担当者向けGoogleアナリティクス活用講座

この記事では、株式会社HAPPY ANALYTICSの小川さんに、EC事業者向けのGoogle アナリティクスの活用方法について、解説いただきました。

※本記事内での「Google アナリティクス」はUA(ユニバーサルアナリティクス)を指します。

「EC事業者向けのGoogle アナリティクスの活用方法」をテーマとした連載の第2回は、Google アナリティクスのeコマースレポートを紹介します。2種類のeコマースの設定、それぞれのレポートと活用方法について見ていきます。

2種類のeコマース設定

Google アナリティクスには、2種類のeコマース設定があります。

Google アナリティクス > eコマースの設定

Google アナリティクス > eコマースの設定

1つが「標準のeコマース」と呼ばれる方式です。購入完了ページにのみトラッキングタグを設定することで、追加情報を取得する方式です。購入完了時の「収益(売上)」「購入した商品の詳細」などの情報をレポートで確認できます。実装も購入完了ページに対してのみ行うので比較的手軽で、多くのECシステムが対応しています。

もう1つの方式が「拡張eコマース」形式です。拡張eコマースでは、購入完了した商品の情報以外のeコマースに関する情報も取得することができます。例えば、商品の詳細ページでどの商品が表示されたか、カートページでどの商品が追加・削除されたかなどです。こういった購入に至る過程のデータも、商品単位で取得し、レポートとして表現できます。

拡張eコマースのほうが取得できる項目は多いですが、その分各ページへの記述の追加などが必要なため、設定は標準のeコマースより複雑です。しかし、分析やデータ活用という観点で、標準のeコマースより有益な情報を得られます。

標準のeコマースと拡張eコマースで取得できるデータの違いは、以下のとおりです。

項目名 標準のeコマース 拡張eコマース
購入完了情報
流入元と購入情報の紐付け
サイト内行動と購入情報の紐付け
一覧ページの商品表示回数、クリック数 ×
商品詳細ページの表示 ×
キャンペーンページの商品表示回数、クリック数 ×
カート追加・削除・個数変更 ×
アフィリエイトの利用 ×
クーポンの利用 ×
決済プロセスの計測 ×
払い戻し情報のインポート ×

なお、Google アナリティクスの設定では「標準のeコマース」と「拡張eコマース」は同時に利用できず、どちらか一方を選択する必要があります。ECシステムがどちらに対応しているか、また標準対応していない場合、カスタマイズが可能かなどを確認の上、判断しましょう。

標準のeコマースと拡張eコマースでは、取得できる項目が違うため、Google アナリティクスで表示できるレポート内容も違います。それぞれで閲覧できるレポートと活用方法を紹介します。

標準のeコマースで確認できるレポートと活用方法

標準のeコマースでは「概要」「商品の販売状況」「販売実績」「トランザクション」「購入までの間隔」の5種類のレポートがあります。

それぞれの意味は以下のとおりです。

レポート名 内容
概要 時系列での基本指標(コンバージョン率、購入回数、収益など)
商品の販売状況 商品別の基本指標(購入数、購入回数、収益、平均購入金額、平均購入個数)
販売実績 日ごとの収益、コンバージョン率、平均注文額(表形式)
トランザクション トランザクションID(購入ごとに付与されるID)ごとの収益、税金、配送料、数量
購入までの間隔 購入までの日数と訪問回数の内訳
※初回購入の場合は、初回訪問から初回購入までの期間。2回目以降購入の場合は、各購入回の間の期間が対象。

この5つのレポートの中で特に重要なレポートは「概要」と「商品の販売状況」です。2つをピックアップして、どう活用すればよいのか紹介します。

概要レポート

eコマースの基本的な指標を時系列で確認できるレポートです。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 概要

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 概要

上記のようにさまざまな指標を時系列で確認でき、どの商品が売れているかをチェックする上で欠かせないレポートです。

例では、2021年12月に収益(グラフ上の濃い青い線)が大きく伸びていることが分かります。一方で、固有の購入数(グラフ上の薄い青い線)はそれに匹敵するほど伸びていないことから、購入単価が高かったことが分かります。この月にどの商品が売れたのかをチェックしてみると良いでしょう。流入元と掛け合わせて分析することで原因を特定できるかもしれません。例えばソーシャルメディア上で話題になり、高額商品が売れた可能性もあります。

さらにコンバージョン率を見ると2021年4月に大きく上がったことがわかります。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース

なぜ、コンバージョン率が上がったのか気になるところですね。この時期にサイトの改修を行ったのか、または集客方法を見直したのか。原因を特定できれば、さらなる改善を目指せるかもしれません。このように本レポートを起点に、原因調査のため他のどの数値や情報を見るべきか当たりを付けるという使い方がオススメです。

商品の販売状況

こちらでは商品単位での購入に関する指標をチェックできます。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品の販売状況

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品の販売状況

5つの指標を確認することができ、意味は以下の通りです。

指標 内容
数量 売れた商品の合計個数
固有の購入数 該当商品を含む決済が行われた回数
1回の購入で同じ商品を3個買った場合は、数量は3、固有の購入数は1とカウント
商品の収益 商品自体の売上(送料や消費税等を除く)
平均価格 商品の収益÷固有の購入数
平均数量 数量÷固有の購入数

5つの指標それぞれのランキングを見ることで、気付きがたくさん得られます。まとめ書いされている商品や、数量は少ないものの単価が高く売上貢献率が高い商品などの傾向を見ることができます。

これらのデータはECシステムの管理画面上でも当然見ることができますが、Google アナリティクスで見ることの利点は「セグメント」機能を利用できることです。

例えば「モバイルユーザーはどの商品の購入が多いのか」などが確認できれば、モバイルユーザーに対して広告を配信する時の参考になります。地域、新規・リピートなどさまざまな切り口で購買されている商品を見て、改善施策に活かしましょう。

拡張eコマースで確認できるレポートと活用方法

拡張eコマースを利用すると、表示されるレポートの種類は10種類に増えます。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 概要

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 概要

それぞれの意味は以下の通りです。

レポート名 内容
概要 時系列での基本指標(コンバージョン率、購入回数、収益など)
ショッピング行動 一覧→詳細→カート追加→決済開始→決済完了 のサイト全体の遷移率
決済行動 決済の各ステップ(例:住所入力→支払い方法選択→確認画面→決済完了)といった決済プロセスの遷移率
商品の販売状況 商品別の基本情報(購入数、購入回数、収益、平均購入金額、平均購入個数)
販売実績 日ごとの収益、コンバージョン率、平均注文額(表形式)
商品リストの販売状況 商品一覧の表示パターンごと(新着商品、スタッフオススメ商品、人気順、特集など)のリスト表示、カート追加、決済開始、完了の状況など
サイト内プロモーション 実装でラベリングした内部プロモーション名ごとの数値
オーダークーポン 決済に対して利用されたクーポンの回数や収益など
商品クーポン 決済した商品に対してのクーポンの利用回数や収益など
アフィリエイトコード 商品の表示時にアフィリエイトコードを付与していた場合のコードごとの数値

標準のeコマースでも利用できたレポートに関しても、より詳しい追加情報が付与されており、例えば「概要」では商品カテゴリや商品ブランドごとの売上なども確認できます。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品の販売状況

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品の販売状況

また「商品の販売状況」では商品ごとの売上や個数だけではなく、商品ごとのカートへの投下率や、詳細ページからのコンバージョン率もチェックできます。

標準のeコマースレポートで紹介した2つのレポート以外に、特筆するべきレポートは「ショッピング行動」と「商品リストの販売状況」です。これら2つを確認していきましょう。

ショッピング行動

ショッピング行動では、ユーザーの主要ステップの数値や次にステップに進んだ割合がわかります。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > ショッピング行動

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > ショッピング行動

1. すべてのセッション

2. 商品表示が発生したセッション

3. カートへの追加が発生したセッション

4. 決済が発生したセッション(=決済開始したセッション)

5. トランザクションの発生したセッション(=購入完了したセッション)

このレポートは、サイト全体を改善する上で欠かせないレポートです。どこで多くの方が離脱しているのか、集客やサイト内の改善施策を行ったときにどの数や割合が改善したのか、といった情報を表示してくれます。常にチェックするべきレポートです。

例えば上記の例では、商品表示からカートへの追加率が12.87%と低いですね。そこで商品詳細ページを改修したとしましょう。実施後に、このカート追加率が上昇したかをチェックして施策の効果を図ります。また、カート追加率が上がったとしても、その先の遷移率(カート追加から決済開始や、決済開始から購入完了)が下がってしまっては売上は伸びません。 先の数値もあわせてチェックしましょう。

本レポートも、セグメントを反映することができるので、デバイス種別、流入元別、新規・リピートなどのセグメントで絞り込み、遷移率に違いがあるかを発見し、改善のアイデア出しに役立てましょう。

商品リストの販売状況

商品リストの販売状況では、商品の表示方法ごとの数値を見ることができます(利用するには、ECシステムにて商品表示方法ごとの情報連携が必要)。

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品リストの販売状況

Google アナリティクス > コンバージョン >eコマース > 商品リストの販売状況

上図の例では、リストでの表示回数は取得していませんが、該当リスト(例:searchであればサイト内検索結果、categoryであれば商品カテゴリ一覧ページ、topであればトップページ、favoriteであればお気に入り一覧)から商品ページのクリック数(3列目)、そこからのカート追加数や、購入回数、収益を確認できます。

本レポートを使うことでユーザーがどのように商品を探しているかが可視化され、またどの方法を使ってもらうと購入につながりやすいのかを判別できます。例えば「固有の購入数」を「商品リストのクリック数」で割ると、購入率が高い商品の探し方も分かります。その方法の利用促進をサイト内で行うといった施策にも繋がります。

ここで紹介してきた2つのレポートは、拡張eコマースならではのレポートで、課題を発見しやすく、実装の手間をかけてでも取得する価値がある情報です。課題を見つけられれば、それだけ改善案を考える材料が増えるということです。

まとめ

今回はGoogle アナリティクスのeコマース機能を中心に、Google アナリティクスで見ることができるレポートとその活用方法について紹介しました。

標準のeコマースの機能と拡張eコマースの2種類がありますが、片方しか選べないため、まずどちらを選択するのかを検討する必要があります。可能であれば拡張eコマースに取り組んでもらいたいですが、難しい場合は標準のeコマースだけでも、実装にチャレンジしてみましょう。単純に購入を「目標」として設定するより、得られる気付きは飛躍的に増えます。

次回はGA4のeコマースのレポートについて紹介します。お楽しみに!

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