Google アナリティクスとGA4の違いとは?|EC担当者向けGoogle アナリティクス活用講座

Google アナリティクスとGA4の違いとは?|EC担当者向けGoogle アナリティクス活用講座

この記事では、株式会社HAPPY ANALYTICSの小川さんに、EC担当者向けGoogle アナリティクスの活用方法について、解説いただきました。

※本記事内での「GA」「Google アナリティクス」はUA(ユニバーサルアナリティクス)を指します。

この度、「EC担当者向けのGoogle アナリティクスの活用方法」というテーマで、連載を書かせていただくことになったHAPPY ANALYTICSの小川と申します。ウェブサイトの分析や改善の専門家として活動しております。どうぞ、よろしくお願いいたします。

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GAとGA4の簡単な歴史について

GA(Google アナリティクス)は2005年にリリースされたアクセス解析ツールです。UrchinというツールをGoogleが買収し、元は有料だったWeb分析ツールを無料で提供し始めました。当時は無料ツールということで非常に人気があり、登録も順番制でした。

GAがアクセス解析ツールのスタンダードになっていく中で、幾度か進化を繰り返し現在に至りました。eコマースの計測に関しては、初期から実装しておりました。ただ計測は購入完了ページだけに限られており、必要な情報の一部しか取得することができませんでした。そこで2014年に拡張eコマースという機能がリリースされました。拡張eコマースの最大の特長は、購入完了ページだけでなくサイト内で発生するさまざまな情報を取得できるようになったことです。以下がその取得できる内容の代表例です。

  • ・商品リストの表示
  • ・商品のクリック
  • ・商品詳細の表示
  • ・プロモーションのインプレッションやクリック
  • ・カートへの追加、削除、個数変更
  • ・決済プロセスの各STEP計測
  • ・購入と払い戻し
GAの拡張eコマースのレポート例:ショッピング行動の分析

GAの拡張eコマースのレポート例:ショッピング行動の分析

eコマースと拡張eコマースは計測の仕組みが違うため、併用することができません。例えば、購入完了ページにはeコマースの記述を追加し、商品詳細ページには、拡張eコマースの記述を追加してレポートを出すことができないなどです。GAの管理画面でどちらを利用するかを選ばなければいけません。

2005年に生まれたGAはこのように増築改築を重ねていった結果、様々な手法での計測が混在する形になりました。それぞれの計測方式の違いによる分析のしにくさなどが発生したこともあり、Googleは計測方式を統一した新しいGAを作成しました。それが2019年にApp+Web版という名称で1年間ベータリリースされ、2020年10月に正式リリースされたGA4です。

ちなみにGA「4」となったのは、計測記述などの大きな変更が3回あり、今回が4回目であることが想像されます(公式には何もアナウンスはありませんが)。しかし今回初めて名称も変わり、今までの15年の中では最も大きな変化であることは間違いありません。

それでは、新たに生まれたGA4とGAの共通点と違いを見てみましょう。

GAとGA4の共通点

GA4も引き続きGoogle が提供するアクセス解析ツールです。それ以外にも主に5つの共通点がありますので、1つずつ確認していきましょう。

1. 自社Webサイトを分析するための「アクセス解析ツール」である

サイトに訪れた人の情報を取得することを主目的とした「アクセス解析ツール」であることは変わりません。つまり、「Webサイトの利用状況を把握」「サイトの良い点や課題点を発見する」「得られた気づきを元に集客やサイト内を改善してその結果を確認する」という利用目的は同じです。取得できるデータやレポートの見方などは変化がありますが、使う目的は一緒ということを覚えておきましょう。全く新しいツールではありません。

2. 「無償版」と「有償版」がある

現行のGAも無償版と有償版がありますが、こちらに関しても変更はありません。GA4においても引き続き無償版が提供されますし、料金体系は変わるようですが(2022年2月時点では詳細は未発表)有償版も提供されるようです。

3. 計測を行うために、各ページに計測記述を追加する必要がある

GAは計測を行うために計測記述(JavaScriptのコード)を直接追加、あるいはGoogle Tag Managerなどのタグ管理ツールを使って追加し、その中にGAの計測設定を行う必要がありました。こちらに関しては、引き続きGA4でも同じ仕組みです。

一部の例外(新規にGAとGA4の計測セットアップを同時に行う)を除き、GAとGA4ではそれぞれの計測記述を追加する必要があります。

Google Tag Managerのタグ設定画面

Google Tag Managerのタグ設定画面。GAとGA4で分かれている。

なおGAとGA4の併用は可能で、Googleも当面は推奨をしています。既にGAが導入されているサイトにGA4を新たに導入しても問題ありません。

4. 利用にはGoogle アカウントが必要

権限管理周りなども大きくは変わっておらず、メールアドレス単位での閲覧者や編集者、管理者などの権限付与を行います。利用したい人に対して、どのGA4のプロパティの権限を与えるかを設定して管理しましょう。

5. 取得できるデータには共通点も多い

名称は変わりましたが、取得できるデータの大半は一緒です。例えば、ページビュー数やユーザー数、流入元のデータ、コンバージョン数などです。eコマースであれば、売上・商品ごとの購入回数などの情報も同じように取得が可能です。取得できるデータの定義が若干変わったものもありますが、考え方は変わっていません。ユーザー数であれば、サイトを訪れた人数(クッキー情報などを元に判断)という形になりますし、ページが表示された回数はそのままページビュー数で変わりません。このあたりはGAを使っていた人には馴染みやすいでしょう。

しかし、計測ができなくなったデータや新たに増えたデータなどもあります。それではGAとGA4の違いを見ていきましょう。

GAとGA4の違い

こちらも主な違いを5つにまとめましたので、確認していきましょう。

1. 計測方式の変更

今までのGAと計測の方法が変わり、その結果、計測記述に関しても互換性がなくなりました。互換性がなくなった理由は、今までの増築改築をいったんリセットするためだと思われます。GAではページビューの計測、イベントの計測、カスタムディメンションの計測、eコマースや拡張eコマースの計測など、それぞれバラバラの方式になっていました。今回GA4ではこれを全て「イベント」形式に統一し、ページビューやeコマースもイベントの一種として計測されるようになりました。

この変更により、イベントデータの掛け合わせが行いやすくなる、実装する側にとっての負荷が減るというメリットがあります。また後ほど触れますが、今後より機械学習を活用した機能を追加してくることが想定されます。そのためにも、計測方式の統一は必須の内容であったと思われます。

2. 分析機能の充実

GAが生まれた当時は「集計」をメインとしたツールでした。つまり、流入数やページ閲覧数、コンバージョン数などをカウントすることを目的としており、そのさまざまなデータを100種類を超えるレポートで見ることができました。

しかし、Webが進化していく中で、より多くの人がそのデータを集計用だけではなく、分析してサイト改善の材料として利用するようになりました。その中で、GAはレポートに対してさまざまな機能を追加してきました。その結果、集計用の機能と分析用の機能がごちゃまぜになってしまい使いにくくなってしまいました。

そこで、GA4では明確に分析用の機能が分かれました。下のキャプチャ内のビジュアリゼーションにあるさまざまなグラフ形式が、新たに追加された「探索」レポートの例です。

「探索」レポート画面

「探索」レポート画面

「レポート」には、今までのGAでも見ることができた項目が並んでいますが、「探索」は名前の通りデータを深堀りするための機能です。eコマースのデータでも基本的な数値は「レポート」内で、細かい掛け合わせなどを行う際には「探索」を使う形になります。こちらは連載の第3回で紹介予定です。

3. 取得できるデータの追加・変更・削除

GAとGA4で取得できるデータの大半は同じということをお伝えしましたが、違いもいくつか出てきました。影響範囲は既存のGAを利用している方にとっては、大きいかもしれません。以下に代表的なものを挙げます。

A)直帰率(1ページだけ見てサイトを離脱する割合)がなくなった

B)直帰率の代わりに「エンゲージメント」という指標の登場

直帰率の反対の考え方で、サイトの10秒以上滞在(10~60秒の間で設定可能)、2つ以上のイベント、コンバージョンイベントのいずれかが発生した場合に、エンゲージしたと判断。エンゲージメント数や、エンゲージメント率が表示されます。

「エンゲージメント」という指標の登場

「エンゲージメント」という指標の登場

C)コンバージョンのカウント方法変更

今までは、1種類の目標に対して1回の訪問で複数回達成しても「1」としかカウントされなかったものが、複数回カウントされるようになりました。例えば「商品詳細閲覧ページ」をコンバージョンとしていて、ある訪問で2回見られた場合、GAは「1」、GA4では「2」としてコンバージョン件数がカウントされます。

D)「セッション」の定義も変更

GAではセッションが切れていた「日をまたいだ場合」「サイト外に出て30分以内に戻ってきた場合」は、セッションがつながるようになります。

このように定義の変更があったため、大半の数値においてGAとGA4は一致しません。どちらが正しいかと言われると、それぞれのルールにおいて正しいということになります。

4. データのさらなる拡張利用を見据えた機能群

計測方式が整理されたことにより、データのさらなる拡張利用が今後期待されます。既にリリースされているものとして「異常値の検知」や「複数回流入後にコンバージョンした際の流入元への貢献配分」など、機械学習を利用した機能がGA4には搭載されています。

例えば、探索レポートの中では、折れ線グラフで異常値が発生した時にその検知を行ってくれます。想定の数値から、どれくらいずれがあったのかなども確認できます。

「探索」レポートでの異常値検知の例

「探索」レポートでの異常値検知の例

5. eコマースと拡張eコマースの統合

GAではeコマースと拡張eコマースの2つがありましたが、GA4では1つに統合されました。拡張eコマース側の機能が一通り残った形になります(若干の差異はありますが)。もちろん購入完了ページだけの計測でも問題ありません。

ただ「1. 計測方式の変更」に書いた通り、GAとGA4のeコマースには直接の互換性は残念ながらなく、それぞれの記述を追加するか、Google Tag Managerで取得変数を変換する形になります。

GA4のeコマースレポート例

GA4のeコマースレポート例

まとめ

今回はGAとGA4の違いに関して、eコマースの観点も交えながら紹介しました。次回はGAでのeコマースおよび拡張eコマースレポートの紹介と活用方法をお伝えします。分析からどのような気付きを発見できるのか、次回もお楽しみに!